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お役立ちコラム

蓄電池20kWhの価格相場と補助金・選び方工事費込み解説

「蓄電池20kWhって、工事費込みでいくらかかるの?」と疑問をお持ちではないでしょうか。

家庭用蓄電池の平均容量は2025年時点で約12.25kWhにとどまっており、20kWhクラスは家庭用としてはほぼ最大級の容量帯にあたります。

オール電化住宅で1日ぶんの消費電力をまるごとたくわえたい方、長時間の停電にしっかりそなえたい方、あるいは法人で**BCP対策(事業継続計画)**として大容量を検討している方にとって、蓄電池20kWhは現実的かつ注目度の高い選択肢です。

ただし、大容量だからこそ価格は決して安くありません。

工事費込みで280万〜400万円前後という価格帯は、製品選びや業者比較、補助金の活用しだいで大きく変わります。

さらに2024年1月に施行された消防法の改正によって、蓄電池20kWhは規制面でもひとつの境界線となりました。

家庭用で届出なく設置できる上限が実質20kWhとなったことで、各メーカーが「19.9kWh」という容量の新製品を相次いで投入しています。

この記事では、蓄電池20kWhの価格相場を設置工事費込みでくわしく解説するとともに、容量帯別の比較や見積もりの読みとき方、補助金の活用術、そして最適容量の考え方まで網羅的にお伝えしていきます。

はじめて大容量蓄電池を検討する方も、すでに見積もりを取って比較中の方も、判断材料としてぜひ最後までお読みください。

蓄電池20kWhは「何に使える容量」?価格相場の全体像

蓄電池を選ぶうえでまず大切なのは、**「20kWhで実際にどれくらいの電気がまかなえるのか」**という具体的なイメージをつかむことです。

カタログに記載された数値だけでは日々の暮らしとの結びつきがわかりにくいため、ここでは一般家庭と施設の両面から使い方を整理します。

そのうえで20kWhクラスの蓄電池の価格相場を容量帯ごとに比較し、投資判断に必要な基本データをそろえていきましょう。

20kWhで賄える電力量の目安(家庭・施設/停電時の運用イメージ)

蓄電池の容量を「kWh(キロワットアワー)」で示されても、それが自分の生活でどの程度の役に立つのかはなかなかつかみにくいものです。

そこでまず基本データとして押さえておきたいのが、一般的な4人家族の1日あたりの消費電力量は約10〜13kWhという数字です。

この数字をもとに考えると、20kWhの蓄電池があれば通常の家庭ならおおむね1.5〜2日ぶんの電力をたくわえておける計算になります。

ただし消費電力量は世帯構成や住宅の設備によって大きく変動します。

特にオール電化住宅では、エコキュートやIHクッキングヒーターなどの稼働によって1日の消費電力が15〜20kWh以上に達するケースも珍しくありません。

こうした住宅では、20kWhの蓄電池でちょうど1日ぶんをカバーできる水準だといえるでしょう。

世帯タイプや施設ごとの消費電力と、20kWhの蓄電池で持続できる時間の目安を以下にまとめました。

世帯・施設タイプ

1日の消費電力量(目安)

20kWhで持続する目安

2人世帯(共働き)

約7〜9kWh

約2〜2.5日ぶん

4人家族(標準住宅)

約10〜13kWh

約1.5〜2日ぶん

オール電化住宅(4人家族)

約15〜20kWh

約1日ぶん

在宅勤務を含む家庭

約12〜16kWh

約1〜1.5日ぶん

小規模オフィス・店舗

約20〜30kWh

約半日〜1日ぶん

つぎに、多くの方が気になる停電時の運用イメージを見ていきましょう。

停電が起きたとき、ふだんどおりに家電をフル稼働させる方はほとんどいません。

冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電、Wi-Fiルーターなど**必要最低限の機器だけを動かす「節電モード」**で過ごす場合、消費電力は1時間あたり400〜600W程度に抑えられます。

この使い方であれば、20kWhの蓄電池で約30〜40時間にわたって電力を確保し続けることが可能です。

一方で、エアコンや電子レンジといった消費電力の大きい家電も使いたい場合は話がちがってきます。

エアコン1台の暖房運転だけでも1時間に700W〜1,500Wほどを消費するため、複数の家電を同時に使えば1時間あたり2〜3kW以上になることも珍しくありません。

こうした運用では20kWhでも6〜10時間ほどで残量がなくなる計算です。

停電時の具体的な持続時間の目安を、使用パターン別にまとめると以下のとおりです。

  • 冷蔵庫+LED照明+スマホ充電のみ:約30〜40時間
  • 上記にテレビとWi-Fiルーターを追加:約20〜25時間
  • さらにエアコン1台(冷暖房)をプラス:約8〜12時間
  • エアコン+電子レンジ+IHを同時使用:約5〜7時間

このように、蓄電池20kWhは使い方しだいで半日から2日以上にわたって家庭の電力を支えてくれる、たいへん余裕のある容量です。

なお忘れてはならないのが、蓄電池には**「定格容量」と「実効容量」の差がある**という点です。

カタログに「20kWh」と表記されていても、実際に利用できる電力量は定格容量の80〜95%程度にとどまるのが一般的です。

くわえて、多くの蓄電池では停電にそなえて残量を一定割合(10〜30%など)キープする**「残量設定」**が初期設定されています。

実質的に使える電力は、定格容量よりも少なくなる点をあらかじめ計算に入れておくことが大切です。

こうした差を踏まえずに容量を決めてしまうと、「思ったより電気が持たない」というギャップにつながります。

20kWhクラスの蓄電池を検討するなら、定格容量だけでなく実効容量と残量設定を確認したうえで判断する習慣をつけておきましょう。

20kWhの価格相場(設置工事費込み)と容量帯別の比較(10〜15/15〜20/20超)

蓄電池20kWhクラスの価格は、設置工事費込みでおおむね280万〜400万円が現在の相場です。

メーカーや製品仕様、設置環境によって上下しますが、**「300万円台」**がひとつの基準になると考えてよいでしょう。

ただし、この金額だけでは「高いのか安いのか」が判断しにくいため、容量帯ごとの価格比較が欠かせません。

以下の表は、2025年時点の一般的な市場相場をもとに工事費込み・税込で整理したものです。

容量帯

工事費込みの価格目安(税込)

1kWhあたり単価の目安

代表的な製品例

10〜15kWh

約150万〜250万円

約15万〜18万円/kWh

テスラ Powerwall 2(13.5kWh)、長州産業 スマートPVマルチ

15〜20kWh

約220万〜320万円

約14万〜17万円/kWh

ニチコン ESS-U4X1(16.6kWh)、オムロン マルチ蓄電プラットフォーム(16.4kWh)

20kWh前後

約280万〜400万円

約14万〜20万円/kWh

ニチコン ESS-T5/T6シリーズ(19.9kWh)

20kWh超(複数台設置など)

約350万〜500万円以上

個別見積もりが必要

テスラ Powerwall 2台(27kWh)など

この表から読みとれる重要なポイントは、容量が大きくなるほど1kWhあたりの単価が下がるという傾向です。

たとえば5kWhクラスでは1kWhあたり18万〜22万円が一般的ですが、15kWh以上の大容量帯になると14万〜17万円程度まで単価が落ちてきます。

つまり「たくさん蓄えるほど割安」というスケールメリットがはたらくため、kWh単価で見たコストパフォーマンスは大容量のほうが高いわけです。

とはいえ総額では当然ながら大容量のほうが高くつきます。

「単価が安い=お得」とは単純にいえず、追加コストに見合う容量のメリットがあるかどうかを冷静に見極めることが重要です。

さて、ここで特に押さえておきたいのが消防法における「20kWh」という境界線です。

2024年1月に施行された改正消防法では、蓄電池の規制単位がそれまでの「Ah・セル」から**「kWh」に変更**されました。

この改正により、JIS規格(JIS C 4412など)に適合した出火防止措置がなされた蓄電池であれば、20kWh以下は消防署への届出が不要となっています。

反対に、20kWhを超える蓄電池を設置する場合は、所轄消防署への事前届出や現地調査が必要です。

複数台設置で合計容量が20kWhを超えるケースでも、同じく届出義務が発生します。

たとえばテスラ Powerwall 2(13.5kWh)を2台設置すると合計27kWhとなり、消防法上の届出対象です。

こうした規制の影響を受けて、ニチコンが2025年秋に発売したESS-T5/T6シリーズは容量を19.9kWhに設定しました。

「20kWh未満で届出不要の範囲に収めつつ、家庭用として最大限の容量を提供する」という設計意図がこの数字にあらわれています。

つまり、家庭用蓄電池で20kWhクラスを探す場合、実質的には19.9kWhが上限ラインになることを知っておきましょう。

どうしても20kWh以上が必要な場合は、複数台設置や産業用モデルの検討が必要になりますが、届出手続きの手間や追加の設置費用が発生する点を事前に理解しておくことが大切です。

価格面だけでなく、こうした規制の知識も含めてトータルで判断することが、20kWhクラスの蓄電池選びでは不可欠といえます。

なお、ソーラーパートナーズのデータによると2025年の蓄電池設置者の**平均設置価格は約210万円(平均容量12.25kWh)**です。

20kWhクラスはこの平均価格の約1.5〜2倍の投資になるため、「なぜ20kWhが必要なのか」という目的の明確化が投資判断の土台になります。

蓄電池20kWhの価格が高い理由と、見積もりで差が出るポイント

蓄電池20kWhクラスの価格は、工事費込みで300万円前後にのぼります。

「なぜここまで高額になるのか」「業者によって見積もり金額が大きくちがうのはなぜか」という疑問は、多くの方が感じるところでしょう。

この章では、蓄電池20kWhの価格を構成する要素をひとつずつ分解するとともに、見積もり内訳の正しい読みとき方を解説します。

事前にこの知識を身につけておけば、不当に高い契約を回避し、適正な価格で導入するための判断力が格段に上がります。

価格を左右する要素(全負荷対応・出力・設置条件・メーカー・保証/サポート)

蓄電池20kWhの価格は、たんに「容量が大きいから高い」というだけで決まるわけではありません。

同じ20kWhクラスでも、製品の仕様や設置環境のちがいで数十万円もの価格差が生まれるのが実情です。

どの要素が価格にどう影響するのかを具体的に理解しておきましょう。

まず大きな影響を持つのが、「全負荷型」か「特定負荷型」かの区分です。

全負荷型とは、停電時にも家中すべてのコンセントに電力を供給できるタイプのことを指します。

200V機器であるエアコン、IHクッキングヒーター、エコキュートなどにも停電中に電力を送れるのが最大の強みです。

一方の特定負荷型は、あらかじめ指定しておいた一部の回路だけに給電するタイプで、本体価格は全負荷型より安い傾向にあります。

ただし2025年現在は、災害時に家全体の電力を確保できる安心感から全負荷型を選ぶ家庭が主流です。

注意したいのは、全負荷型を導入すると分電盤の交換や追加の配線工事が必要になるケースがある点で、工事費にも影響してきます。

つぎに、定格出力(kW)のちがいも価格を左右する重要な要素です。

蓄電池の容量(kWh)は「どれだけの電気を貯められるか」をあらわしますが、出力(kW)は**「同時にどれだけの電気を使えるか」**を意味します。

たとえば定格出力5kWの蓄電池なら5,000W相当の家電を同時に動かせますが、出力3kWの製品では3,000W分が上限です。

大容量20kWhの蓄電池であっても出力が低ければ、「電気はたっぷりあるのに一度にたくさん使えない」というミスマッチが起きてしまいます。

出力の高い製品ほど部品コストがかさむため、出力が上がるほど本体価格も高くなるのが一般的です。

設置条件も、見落とされがちですが価格に影響する大きな要因です。

屋外に設置する場合はコンクリート基礎の造成や防水・防塩害の対策が求められるため、工事費が屋内設置よりも高くなる傾向があります。

また設置場所が狭い場合や、道路からの搬入経路が限られている場合には、小型クレーンの手配や人員の追加が発生し費用がかさみます。

塩害地域や積雪が多い地域では、対応仕様の製品を選ぶ必要があり、通常モデルよりも本体価格が割高です。

2階のバルコニーなど特殊な場所への設置を希望する場合は、足場の仮設費用だけで10万〜20万円が上乗せされることも珍しくありません。

メーカーの選択も、価格に直結するポイントです。

国内メーカー(ニチコン、オムロン、シャープ、京セラ、パナソニックなど)は、製品ラインナップが豊富で保証やサポート体制が手厚いぶん、価格は一定の水準を保っています。

一方、テスラのような海外メーカーは本体価格の安さで差別化を図ってきましたが、近年は円安や原材料費の上昇によって価格差が縮まってきています。

さらにテスラのPowerwallはJET認証を取得していないため、国のDR補助金やほとんどの自治体の補助金で対象外になるケースが大半です。

補助金を差し引いた**「実質負担額」**で比較すると、国内メーカー製品のほうが割安になることも多い点は覚えておきましょう。

最後に、保証内容とアフターサポートの充実度も価格に織り込まれています。

蓄電池は10〜15年にわたって使い続ける長寿命の設備です。

保証が手厚いメーカーほど製品価格は高くなりがちですが、長期的に見ればその投資は「安心料」として十分に意味があるケースが多いでしょう。

おもな比較ポイントは以下のとおりです。

  • 無償保証の年数:一般的に10〜15年。ニチコンは15年が標準
  • 有償の延長保証:長府工産(ニチコンOEM)は20年まで延長可能
  • 蓄電容量の保証:10年後に定格容量の60〜70%以上を維持する出力保証が一般的
  • 遠隔モニタリング:ニチコンは24時間365日のクラウド監視を標準で提供
  • 緊急時対応:故障時の駆けつけサービスの有無や対応エリア

このように、蓄電池の価格は複数の要素が組み合わさって決まるため、カタログの本体価格だけを比較しても正確な判断はできません。

全負荷/特定負荷の区分、出力、設置条件、メーカーの方針、保証の手厚さまでを総合的に比較する姿勢が、適正価格での導入への近道です。

見積もり内訳のチェック項目(本体・周辺機器・工事費・追加工事・申請費用)

蓄電池の見積書を受けとったとき、「総額の数字だけを見て判断する」のは非常に危険です。

同じ製品・同じ容量でも、業者によって見積もりの項目立てや含まれる範囲がまったくちがい、あとから追加費用が発生するケースは少なくありません。

適正価格かどうかを正しく判断するには、内訳の各項目を理解しておくことが欠かせません。

見積もりに含まれるべきおもな費用項目を、以下の表にまとめました。

費用項目

内容

相場の目安

蓄電池本体

バッテリーユニット本体

容量・メーカーにより100万〜300万円以上

パワーコンディショナー

直流と交流を変換する機器(ハイブリッド型は本体に内蔵)

本体に含まれることが多い

周辺機器

リモコン、CTセンサー、ゲートウェイ、HEMS連携機器など

約5万〜20万円

標準工事費

蓄電池の据付、電気配線、接続工事

約15万〜30万円

基礎工事

屋外設置時のコンクリート基礎や架台の造成

約3万〜10万円

分電盤工事

全負荷型の場合に必要となる切替分電盤の新設・交換

約5万〜15万円

追加工事

配線延長、壁の貫通処理、足場の仮設、搬入に伴う特殊作業

状況により数万〜20万円

電力会社への申請費用

系統連系の申請手続き(太陽光との連携がある場合)

約1万〜5万円

消防届出費用

20kWh超を設置する場合の消防署への届出手続き

数千〜1万円程度

諸経費・管理費

運搬費、廃材処分費、現場管理費、書類作成費など

約5万〜15万円

この表を手元に置きながら、見積書をチェックする際に特に注意すべきポイントを挙げていきます。

  • 「工事費込み」の範囲を具体的に確認する:「本体+標準工事費」とだけ記載されていて、分電盤工事や基礎工事が別途扱いになっていないかを必ずチェック
  • パワーコンディショナーが含まれているか:単機能型蓄電池の場合、既存の太陽光用パワコンとは別に蓄電池用パワコンが必要になることがある
  • 追加工事の発生条件を事前に確認する:「現地調査の結果しだいで追加費用が発生します」との記載がある場合は、想定される追加額の上限を聞いておく
  • 補助金の申請代行費が含まれているか:無料で代行してくれる業者と、別途数万円を請求する業者がある
  • 保証延長やアフターサービスの費用:有償の延長保証オプションや、定期メンテナンスの費用が見積もりに含まれているかどうか

見積もりで最も警戒すべきは、訪問販売経由の契約です。

訪問販売では市場相場を大幅に上回る価格が提示されるケースが業界でもたびたび報告されています。

SII(環境共創イニシアチブ)が管理するDR補助金では、蓄電池の導入費用が一定の基準を超えると補助金の審査が通らない仕組みになっています。

言い換えれば、不当に高い見積もりで契約すると補助金を受けとれないリスクまで背負うことになるわけです。

こうしたリスクを避けるために最も効果的な手段が、複数の業者から相見積もりを取ることです。

最低でも2〜3社、理想的には4〜5社の見積もりを並べて比較することで、各項目の相場感がつかめるようになります。

「A社ではこの項目が含まれているのに、B社では別途扱いになっている」といった見積もり構成のちがいにも気づきやすくなるでしょう。

また、見積もりの内訳が不透明な業者や、各項目を明示せず「一式」とだけ記載している見積もりには注意が必要です。

信頼できる施工業者であれば、本体費用・工事費・周辺機器・諸経費をそれぞれ明確に区分した透明性の高い見積もりを出してくれます。

「なぜこの金額になるのか」をきちんと説明してくれるかどうかも、業者選びの重要な判断材料です。

蓄電池20kWhという高額な買い物だからこそ、見積もりの内訳を読みとく力が適正価格での導入と不要な出費の回避につながります。

初期費用を抑えて失敗しない導入手順(家庭/法人別)

蓄電池20kWhクラスの導入には、工事費込みで300万円前後の投資が必要です。

これだけの金額を支払うからには、**「初期費用をいかに抑えるか」と「導入後に後悔しないためにはどうすべきか」**の2つを事前にしっかり押さえておくことが欠かせません。

この章では、家庭用と法人用のそれぞれの視点から、補助金の活用方法と最適な容量の決め方を具体的に解説していきます。

順序を間違えると補助金を受けとれないケースもあるため、導入の流れを正しく理解しておきましょう。

補助金活用の基本(国・自治体)と申請で落とし穴になりやすい点

蓄電池の初期費用を大幅にカットできるもっとも有効な手段が、国や自治体が提供する補助金制度の活用です。

20kWhクラスのように高額な蓄電池ほど補助金のインパクトが大きく、うまく活用すれば実質的な自己負担を100万円以上引き下げることも可能です。

まず、2025年度時点で家庭用蓄電池に利用できるおもな国の補助金制度を整理します。

補助金制度

補助額

おもな条件

2025年度の受付状況

DR補助金(家庭用蓄電システム導入支援事業)

最大60万円

SII登録製品を使用、DR実証実験への参加、交付決定後に契約

2025年7月に予算上限到達により受付終了

子育てグリーン住宅支援事業

蓄電池1戸あたり64,000円

断熱リフォームとの同時実施が必須(2025年度から変更)

受付中(予算上限しだい終了)

DR補助金は最大60万円と非常に高額な補助制度ですが、2025年度はわずか約2か月で66.8億円の予算が消化され、異例の早さで受付を終了しました。

2026年度も同様の制度が実施される見込みですが、開始直後に申請が殺到する可能性がきわめて高いため、公募開始前からの事前準備が不可欠です。

DR補助金の補助額は、以下の3つのうちもっとも低い金額が適用されます。

  • 初期実効容量 × 3.7万円/kWh
  • (設備費+工事費)× 1/3
  • 上限60万円

たとえば実効容量16kWhの蓄電池を導入費用240万円で設置する場合、「16×3.7万=59.2万円」と「240万×1/3=80万円」を比較し、低い方の59.2万円が補助額となります(上限60万円以内なのでそのまま適用)。

もうひとつの子育てグリーン住宅支援事業は、2025年度から条件が厳しくなりました。

以前は蓄電池の設置だけで補助を受けられましたが、現在は断熱改修工事(窓の断熱リフォームなど)と同時に行うことが必須となっています。

蓄電池だけの導入を目的としている場合には使いにくい制度に変わった点を認識しておきましょう。

国の補助金以上に見逃せないのが、自治体独自の補助金制度です。

都道府県や市区町村が独自に設けている補助金は、国の補助金と併用できる場合がほとんどです。

「国の補助金+都道府県の補助金+市区町村の補助金」の三層を組み合わせることで、初期費用を大幅に圧縮できます。

とくに東京都の補助金は全国でも突出して手厚く、蓄電池に対して1kWhあたり12万円、さらにDR実証参加で10万円の上乗せが用意されています。

20kWhクラスの蓄電池をフルに適用した場合、東京都の補助金だけで最大120万円を超える補助を受けられる可能性があるのです。

国のDR補助金(最大60万円)と合算すれば、実質負担額を200万円以下に抑えられるケースも十分に考えられます。

ただし、補助金の申請には思わぬ落とし穴があります。

見落としやすいポイントを以下にまとめました。

  • DR補助金は「交付決定後」に業者と契約するのが鉄則:決定前に契約すると補助金が受けとれない。交付決定までに2〜4週間かかる
  • DR補助金に対応できる業者は限られている:すべての施工業者が申請資格をもっているわけではなく、事前確認が必須
  • 導入費用が高すぎると審査で落ちる:SIIの基準価格を超える見積もりでは、適正価格と認められず補助金が下りないリスクがある
  • 自治体の補助金は予算枠が小さく早期に終了する:人気の自治体では年度開始から数か月で枠が埋まることも珍しくない
  • 国同士の補助金は併用不可:DR補助金と子育てグリーン住宅支援事業はどちらか一方のみ申請可能。ただし「国+都道府県+市区町村」の組み合わせは併用できる
  • テスラ製品は大半の補助金で対象外:JET認証がないため国のDR補助金・ほとんどの自治体補助金で対象から外れる

法人が蓄電池を導入する場合は、家庭向けとは異なる補助金メニューが用意されています。

経済産業省の**「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」**や、環境省の脱炭素関連補助金が代表的です。

法人向けの補助金は補助率が1/3〜1/2と高いのが魅力ですが、太陽光発電との同時導入が条件になっているものが多い点には留意してください。

いずれにせよ、補助金制度は年度ごとに内容や申請条件が変わるため、つねに最新情報を追いかける姿勢が大切です。

2025年度のDR補助金がわずか2か月で終了した事実をふまえれば、2026年度に向けて「今のうちから」業者選定と見積もり取得を始めておくことが、補助金を確実に活用するための最善策だといえるでしょう。

最適容量の決め方と費用対効果(単独導入/太陽光併用/BCP用途の考え方)

蓄電池の容量は「大きいほうが安心」と思いがちですが、ライフスタイルや導入目的に合わない容量を選んでしまうと費用対効果が大きく低下します。

20kWhクラスの蓄電池はたしかに大容量で頼もしい存在ですが、すべての家庭や事業者にとってベストな選択とはかぎりません。

ここでは、おもな導入パターンごとに最適な容量の考え方と費用対効果の見通しを整理していきます。

まず、太陽光発電を設置していない「蓄電池単独導入」のケースです。

太陽光パネルがない場合、蓄電池への充電は**夜間の割安な電力を使う「電力シフト」**が基本の活用方法になります。

深夜電力で充電しておき、昼間の割高な時間帯に放電して使うことで、電気料金の差額ぶんを節約する仕組みです。

ただし、太陽光発電がない状態では節電効果だけで初期投資を回収するのに15年以上かかるのが一般的です。

20kWhという大容量を電力シフトだけの目的で導入するのは、経済合理性の面ではかなり厳しいといわざるを得ません。

単独導入で20kWhクラスを選ぶ合理的な理由があるとすれば、それは**「停電や災害への万全の備え」**を最優先にしている場合でしょう。

つぎに、もっとも費用対効果が見込める「太陽光発電との併用」パターンです。

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、以下のような大きな経済メリットが生まれます。

  • 昼間の発電余剰ぶんを蓄電池にためて夜間に自家消費することで、電力購入量を大幅に削減できる
  • FIT(固定価格買取制度)終了後の売電単価は7〜8円/kWh程度にまで下がるため、売電するより自家消費するほうが経済的に得になる
  • 天気のよい日に蓄電池をフル充電すれば、翌日ぶんの電力もまかなえる可能性がある

ここで重要なのが、太陽光パネルの発電量と蓄電池の容量をバランスよくそろえることです。

一般的な住宅用太陽光発電(4〜5kW)の場合、晴天時の1日あたり発電量は約15〜20kWhです。

このうち昼間の自家消費ぶん(約4kWh)を除くと、蓄電池に回せる電力は11〜16kWh程度にとどまります。

つまり、太陽光4〜5kWとの組み合わせでは蓄電池は12〜16kWhが最適なバランスであり、20kWhではやや容量を持て余す可能性があります。

20kWhの蓄電池を太陽光発電の余剰でフル充電したい場合は、太陽光パネルの容量が6kW以上であることが望ましいでしょう。

太陽光発電がすでに設置済みの方は、毎月の発電量のデータをもとに蓄電池の容量を逆算することで、ムダのない容量選びが可能になります。

3つめは、法人が「BCP(事業継続計画)」の目的で導入するパターンです。

BCP用途では、「災害による停電時に、最低限の業務を何時間続けられるか」が容量を決める起点になります。

容量を決めるための具体的なステップは以下のとおりです。

  • ステップ1:停電時に稼働させたい機器(サーバー、冷蔵設備、照明、通信機器など)をリストアップする
  • ステップ2:各機器の消費電力(W数)を合計する
  • ステップ3:必要な稼働時間をかけて、必要電力量(kWh)を算出する
  • ステップ4:蓄電池の実効容量(定格の80〜90%)を考慮して、定格容量を決める

たとえば、合計2kWの機器を8時間稼働させたい場合に必要な電力量は16kWhです。

実効容量を80%と見積もると、必要な定格容量は20kWhの蓄電池となります。

法人の場合は蓄電池を太陽光発電やV2H(Vehicle to Home:電気自動車からの給電)と組み合わせることで、長期停電にも対応できるレジリエンスの高い電力システムを構築できます。

こうした複合的なシステム設計には専門知識が必要になるため、BCP用途で大容量蓄電池を検討する法人は、実績の豊富な施工業者やエネルギーコンサルタントへの相談をおすすめします。

ここまでの内容をふまえ、導入目的ごとの推奨容量と費用回収の見通しを一覧にまとめます。

導入目的

推奨容量の目安

費用回収期間の目安

押さえておくべきポイント

電気代の節約(太陽光なし)

5〜10kWh

15年以上

20kWhはオーバースペックになりやすい

太陽光発電4〜5kWとの併用

10〜16kWh

8〜12年

太陽光の発電量と蓄電池容量のバランスが重要

太陽光6kW以上+完全自給自足

16〜20kWh

10〜14年

大容量太陽光との組み合わせが前提

停電対策を最優先(家庭)

10〜20kWh

回収目的ではない

生活維持時間の希望で容量を決める

BCP対策(法人)

20kWh以上

個別シミュレーションが必要

太陽光やV2Hとの併用で効果が大幅に拡大

この表からわかるように、20kWhの蓄電池が最適な選択となるのはある程度限られたケースです。

一般的な家庭では10〜16kWhで十分な場合も多く、目的をあいまいにしたまま「大きいほうが安心」と20kWhを選ぶのはコスト面で非効率になるおそれがあります。

逆に、オール電化住宅で電力自給率を最大限に高めたい方、長時間の停電に万全の体制を敷きたい方、BCP対策として確実な電力確保が求められる法人にとっては、20kWhクラスは合理的かつ必要な投資です。

大切なのは、「なぜ20kWhが必要なのか」を自分のことばで説明できるかどうかです。

この問いに対する答えが明確であるほど、容量選びに迷いがなくなり、あとから「もっと小さくてよかった」「もっと大きければよかった」と後悔するリスクを確実に減らせます。

まとめ

蓄電池20kWhの価格相場から補助金の活用術、見積もりの読みとき方、そして最適な容量の考え方まで、この記事で幅広く解説してきました。

最後に、この記事でお伝えした重要ポイントをあらためて整理します。

  • 蓄電池20kWhクラスの価格相場は、設置工事費込みで280万〜400万円が目安
  • 大容量ほど1kWhあたりの単価は下がる(15kWh以上で14〜17万円/kWh程度)が、総額は高くなる
  • 2024年1月の消防法改正により、JIS適合品は20kWh以下なら届出不要。家庭用最大クラスはニチコンの19.9kWh
  • 見積もりでは**「工事費込み」に含まれる範囲を必ず確認**し、相見積もりで適正価格を見極める
  • 国のDR補助金は最大60万円と高額だが、2025年度はわずか約2か月で受付終了。2026年度に向けた早期準備が重要
  • 東京都など自治体の補助金は国の補助金と併用可能で、三層活用により実質負担を大幅に圧縮できる
  • 20kWhが最適になるのは太陽光6kW以上との併用、長時間の停電対策、法人のBCP用途などに限られ、多くの家庭では10〜16kWhで十分な場合もある
  • 容量選びのカギは、「なぜこの容量が必要なのか」を自分の暮らしや事業の実情にもとづいて明確にすること

蓄電池20kWhは決して安い買い物ではありませんが、正しい知識を持って選べば10年以上にわたって暮らしや事業を支えてくれる頼もしい設備です。

まずは複数の施工業者から見積もりを取り、補助金の最新情報を確認しながら、ご自身にとっての最適解を見つけてください。

2026年度のDR補助金の公募開始に備えて、今日から準備を始めることが、もっとも確実な「お得な導入」への第一歩です。

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