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お役立ちコラム

太陽光パネルは地震で危険?被害と対策

「太陽光パネルを設置したいけど、地震のとき大丈夫なの?」と不安をかかえていませんか。

日本は世界でも有数の地震大国であり、いつどこで大きな揺れが起きてもおかしくありません。 2024年の元日に発生した能登半島地震では、少なくとも19か所の太陽光発電施設で破損や崩落が確認されました。 斜面に設置されたパネルが住宅地に流れこんだケースや、建物の倒壊にともないパネルが感電源となったケースなど、深刻な被害が報じられています。

一方で、太陽光パネルそのものは強化ガラスでおおわれており、発電設備のなかでは最も頑丈なパーツであるという事実もあります。 つまり、正しくリスクを知り、あらかじめ対策をとっておけば、地震による被害は大きく減らせるのです。

この記事では、太陽光パネルにまつわる地震リスクを具体的な被害事例とともに解説し、事前にできるチェックポイントや実践的な対策までくわしくお伝えします。 これから設置を検討しているかたはもちろん、すでにパネルを設置しているかたにも役立つ内容です。 最後まで読むことで、地震への備えに自信をもてるようになるはずですので、ぜひ参考にしてみてください。

太陽光パネルで想定すべき地震リスク

太陽光パネルは「災害時にも電気がつかえる」という心強いイメージがある設備です。 しかし、地震の規模や揺れかたによっては、その強みが発揮できないどころか、あらたな危険を生みだす可能性があります。

ここでは、太陽光パネルのオーナーが知っておくべき2つの大きなリスクについて整理します。 いずれも「そんなことが起こるとは知らなかった」では済まされない深刻な内容ですので、しっかり把握しておきましょう。

発電不能(架台・配線破損で停止)

地震が起きたとき、真っ先に心配されるのが「発電がとまってしまう」リスクです。 太陽光パネルそのものは強化ガラスで守られているため、パネル単体が地震の揺れで割れるケースは比較的少ないとされています。 問題はむしろ、パネルを支える架台や、電力を送るケーブル・パワーコンディショナーなどの周辺設備にあります。

たとえば、2016年の熊本地震では「ソーラーファーム城南藤山」で大きな被害がでました。 地盤が波うつように変形したことで、パネルを支えるコンクリート基礎が割れたり傾いたりする事態が発生しています。 パワーコンディショナーの基礎も傾いてトラブルが生じ、売電を再開できるまでに約3か月もかかりました。

また、2018年の北海道胆振東部地震では、50kW以上の産業用太陽光発電で3件の被害報告がありました。 おもな被害内容は、以下のとおりです。

  • 地面の隆起や地割れ、液状化にともなう架台・パネルの損傷
  • パワーコンディショナーの短絡・地絡による運転機能の喪失
  • 配電網の損傷による系統からの切り離し(ブラックアウト)

このように、パネルが無事でも周辺設備がこわれてしまえば発電はできなくなります。 しかも修理や交換には、設備の容量にもよりますが20万〜50万円ほどの費用がかかるケースもあり、経済的なダメージも決して小さくありません。

住宅用の太陽光発電であっても、架台をとめるボルトがゆるんでいたり、屋根との接合部が劣化していたりすると、地震の揺れでパネルがズレたり脱落したりするおそれがあります。 停電時にこそ活躍してほしい太陽光発電が使えなくなるのは大きな痛手です。 だからこそ、「パネル以外の部分」への注意が欠かせません。

以下に、発電不能をひきおこす主な原因とその影響をまとめます。

破損箇所

おもな原因

発電への影響

架台・基礎

地盤の変形、液状化、地割れ

パネルの傾き・脱落で発電効率が大幅に低下

パワーコンディショナー

基礎の傾き、内部のショート

発電した電力を変換できず完全停止

ケーブル・接続箱

揺れによる断線、コネクタの脱落

送電経路がたたれて発電量がゼロに

屋根との接合部

ボルトのゆるみ、防水シートの損傷

パネル脱落のリスクと雨漏りの二次被害

感電・漏電・発火(二次災害)

太陽光パネルの地震リスクのなかで、**もっとも命にかかわる危険が「二次災害」**です。 具体的には、感電・漏電・発火の3つがあり、いずれもパネルの特性に起因しています。

太陽光パネルには「光があたるかぎり発電しつづける」という性質があります。 これはふだんならメリットですが、地震で設備が損傷したあとには大きなリスクとなるのです。 壊れて屋根から落下したパネルであっても、日光があたれば300V以上の電気を発生させる可能性があります。

2024年の能登半島地震で起きた珠洲市の事例は、このリスクを象徴するものでした。 珠洲市宝立町のスーパーマーケットでは、建物が倒壊したにもかかわらず、屋根に設置されていた約200平方メートルのパネルにはあまり被害がありませんでした。 建物は壊れているのにパネルは発電をつづけている状態となり、感電や漏電のリスクがかえって高まったのです。

こうした二次災害のパターンを、以下に整理します。

  • 感電:破損したパネルやむきだしのケーブルに触れることで起こる。水たまりや浸水があると、直接触れなくても水をとおして感電するおそれがある
  • 漏電:ケーブルの断裂部やパワーコンディショナーの故障箇所から電気がもれだす。周囲に水があるとさらに広範囲に危険がおよぶ
  • 発火:ショートした配線やパワーコンディショナーが発熱し、周囲の枯葉やほこりに着火する。実際に漏電から火災へ発展した事例も報告されている

経済産業省も、能登半島地震の発生後に太陽光パネルの危険性について注意喚起をおこなっています。 壊れたパネルには「触らない」「近づかない」ことが鉄則であり、やむをえず作業する場合は、絶縁性のあるゴム手袋やゴム長靴を着用するよう呼びかけています。

パネルに光があたらないようブルーシートや段ボールでおおい、専門業者に連絡するのが正しい対処法です。 とくに津波や大雨で設備が浸水した場合は、ロープなどを張って人が近づけないようにすることも重要です。

太陽光パネルが「壊れたあとも発電する」という性質は、ほかの電気設備にはない特有のリスクといえます。 地震後の混乱のなかで正しく行動するためには、あらかじめこの危険を知っておくことが何より大切です。

地震前にできる安全度チェック

太陽光パネルの地震リスクを把握したら、つぎに取りくみたいのが「事前のチェック」です。 地震そのものを防ぐことはできませんが、被害を最小限におさえるための準備は今日からでも始められます。

ここでは、設備と立地の両面から安全度を確認する方法をご紹介します。

架台の強度と施工品質を確認する

太陽光パネルの耐震性を大きく左右するのが、パネルを支える「架台」の強度と、それを取りつけた「施工」の品質です。 いくらパネル自体が丈夫でも、架台がもろければ意味がありません。

架台の設計基準としては、JIS C 8955:2017「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」が広くもちいられています。 この規格では、風圧荷重だけでなく地震荷重も設計時に考慮するよう定められています。 つまり、この規格にしたがって正しく設計・施工された架台であれば、一定の地震にはたえられるように作られているわけです。

しかし、実際の現場では以下のような問題が報告されています。

  • JIS規格にもとづいた構造計算をしていない(もしくは誤った計算で設計されている)
  • パネルを敷きつめすぎて、パネル同士がぶつかるリスクを考慮していない
  • 架台のボルトが適切なトルクで締められていない
  • 防錆処理が不十分で経年劣化が進んでいる

とくにパネルを隙間なく設置しているケースは要注意です。 小さな地震でもパネル同士が接触して故障するリスクがあるうえ、メーカーの設置基準を守っていないと保証の対象外になる場合もあります。

では、具体的にどのようなチェックをおこなえばよいのでしょうか。 以下のポイントを確認してみてください。

チェック項目

確認方法

注意点

架台ボルトのゆるみ

目視と手で軽く揺すって確認

高所作業はかならず専門業者に依頼する

架台の錆び・腐食

目視で架台全体を観察

とくに海沿いの地域は塩害による劣化が早い

パネル同士の間隔

メーカーの設置基準と照合

基準より狭い場合は施工業者に相談

屋根との接合部

防水シートの損傷や雨漏りの有無

築10年以上は定期点検をおすすめ

パワコン・接続箱

異音・異臭・外装の損傷を確認

内部の点検はかならず有資格者が対応

なお、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン」を公表しています。 ここには架台や基礎の設計に関するくわしい指針がまとめられており、施工品質の判断材料として非常に参考になります。

すでに太陽光パネルを設置しているかたは、まず施工業者やメーカーに連絡して、設備の耐震性に問題がないか相談してみることをおすすめします。 これから設置を検討しているかたは、「地震のリスクもふまえた設計をしてくれるか」を業者選びの重要なポイントにしてください。 施工実績が豊富で、構造計算の内容をきちんと説明してくれる業者は信頼できるといえるでしょう。

ハザードマップで立地リスクを把握する

太陽光パネルの設備をいくら丈夫にしても、設置場所そのものに大きなリスクがあれば被害を防ぎきれません。 地震にともなう被害は「揺れ」だけではなく、津波・液状化・土砂崩れなど多岐にわたるからです。

こうした立地リスクを事前に把握するうえで、もっとも手軽で有効なツールが自治体が公表しているハザードマップです。 国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」を使えば、全国どこでもオンラインで確認できます。

チェックすべきおもなリスクは以下のとおりです。

  • 津波浸水想定区域:海岸線に近い場所では津波による浸水リスクを確認する。パネルが水没すると感電の危険が極めて高い
  • 液状化の可能性がある地域:地盤がゆるむと架台の基礎ごと傾いたり沈んだりするおそれがある
  • 土砂災害警戒区域:斜面に設置されたパネルは地盤崩落とともに流出する可能性がある。能登半島地震の穴水町の事例はまさにこのパターン
  • 洪水浸水想定区域:河川の氾濫で設備が水につかるリスクがないか確認する

能登半島地震では、石川県穴水町の斜面に設置されていた太陽光パネルが地盤ごと崩落し、住宅街の目前にまで流れこむ被害が発生しました。 幸い住宅への直接的な被害はなかったものの、道路はパネルと土砂でふさがれ、翌月の2月まで通行止めがつづいています。

もしハザードマップで自分の設置場所が危険区域に該当することがわかった場合は、以下のような対応を検討しましょう。

  • パワーコンディショナーなどの機器を、想定される浸水深よりも高い位置に設置しなおす
  • 斜面設置の場合は、地盤の補強や擁壁の設置を施工業者に相談する
  • 津波浸水区域にある場合は、避難時にパワーコンディショナーを停止する手順を確認しておく
  • 保険の見なおしを検討する(危険区域では保険料が割高になるケースもある)

ハザードマップは太陽光パネルの設置前にチェックするのが理想的ですが、すでに設置済みのかたも遅くはありません。 自分の設備がどんなリスクにさらされているかを知ることが、いざというときの被害を減らす第一歩になります。

被害を減らすための具体的な対策

リスクを把握し、安全度のチェックをおこなったら、つぎは実際に被害を減らすための対策に取りくみましょう。 地震だけでなく台風や豪雨といった複合的な災害にも備えることで、太陽光発電の投資価値を守ることにつながります。

水害も見据えた設置高さ・構造にする

地震の被害は「揺れ」だけにとどまりません。 地震にともなう津波、ダムの緊急放流による洪水、地盤の変形による河川の氾濫など、水害が複合的に発生するケースは過去の震災でもくり返しみられています。

太陽光パネルのシステムが浸水した場合、パネルは水中でも発電をつづけるため、周囲の水が帯電し、近づくだけで感電するという極めて危険な状態になります。 こうした複合災害にそなえるためには、設備の設置高さと構造を見なおすことが有効です。

具体的にとりうる対策は、以下のとおりです。

  • パワーコンディショナーの高所設置:地上設置型の場合、想定される浸水深よりも高い位置に機器を設置する。50cm〜1mの嵩上げが目安
  • 架台の基礎を強化する:液状化リスクのある地域では、コンクリート基礎の大型化や杭基礎の採用を検討する
  • 排水設計の見なおし:パネル設置エリアの周囲に排水溝を設け、水がたまりにくい構造にする
  • 防草シートの固定強化:地上設置型では、地震や増水で防草シートがめくれあがると排水を妨げる原因になる

対策

効果

おもな対象

パワコンの嵩上げ

浸水時の機器損壊と漏電リスクを軽減

地上設置型・浸水リスクのある地域

基礎の大型化・杭基礎

液状化や地盤変形による架台の傾きを防止

地盤がやわらかい地域

排水溝の設置

豪雨時の冠水を防ぎ、設備の浸水を抑制

すべての地上設置型

ケーブルの防水処理強化

浸水してもケーブル内部への水の侵入を防ぐ

接続箱やジャンクションまわり

住宅用の屋根設置であっても、パワーコンディショナーを1階の低い位置に設置しているケースは少なくありません。 ハザードマップで浸水リスクが確認された場合は、機器の設置位置を変更できないか施工業者に相談してみましょう。

また、これから新規に設置する場合は、水害を見すえた設計を最初から織りこんでおくことで、あとからの工事よりもコストを抑えられます。 「地震のときに水害も起きるかもしれない」という想定をもつことが、結果として設備全体の安全性を高めてくれるのです。

建物の耐震性能と保険で備える

屋根に太陽光パネルを設置する場合、パネルの安全性は建物そのものの耐震性能に大きく左右されます。 どれだけ高品質なパネルや架台をつかっても、建物が倒壊すれば太陽光発電システムも使いものにならなくなるからです。

能登半島地震の珠洲市では、スーパーマーケットの建物が倒壊した一方で、屋根のパネルは無事という皮肉な状況がうまれました。 この事例が示しているのは、「パネルを守る」よりも先に「建物を守る」ことが必要だという点です。

建物の耐震性能を確認するうえで、まずおさえておきたいのが以下の区分です。

  • 旧耐震基準(1981年5月以前に建築確認):震度5程度の中規模地震に耐えることを想定。大規模地震への対応は不十分
  • 新耐震基準(1981年6月以降に建築確認):震度6強〜7程度の大規模地震でも倒壊しないことを想定
  • 耐震等級3(住宅性能表示制度):新耐震基準の1.5倍の強度。長期優良住宅では太陽光パネルを載せる場合、「重い屋根」の壁量基準を満たすことが求められる

旧耐震基準の建物に太陽光パネルを設置すると、屋根の荷重増加によって地震時の倒壊リスクがさらに高まる可能性があります。 住宅用の太陽光パネルは1平方メートルあたり約15kgの重さがあり、一般的な住宅で18〜30平方メートルを設置すると、屋根に270〜450kgの荷重がかかる計算です。 築年数が古い建物では、パネルの設置前にかならず専門家に耐震診断をしてもらいましょう。

そして、もうひとつの重要な備えが保険への加入です。 太陽光発電設備はけして安い買い物ではありません。 万が一の地震被害にそなえて、適切な保険でカバーしておくことが大切です。

保険の種類

おもな補償内容

ポイント

火災保険(建物付帯)

火災・風災・水災・雪災などによる損害

太陽光設備を補償対象に追加できるか確認が必要

地震保険

地震・噴火・津波による損害

火災保険とセットでないと加入できない。補償額は火災保険の30〜50%

施設賠償責任保険

パネル飛散などで第三者に被害を与えた場合の損害賠償

地上設置型や強風地域ではとくに重要

メーカー保証・施工保証

製品の不具合や施工ミスによる損害

自然災害は対象外のケースが多い点に注意

注意すべきは、火災保険だけでは地震による被害が補償されないことです。 地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、補償額も火災保険の30〜50%に制限されます。 それでも、修理費や交換費をすべて自己負担するよりは、はるかに経済的な安心感があるでしょう。

さらに近年は、自然災害の増加やケーブル盗難の多発によって、太陽光発電向けの保険料が値上がり傾向にあります。 早めに加入しておくことで、将来的な保険料の上昇リスクも軽減できます。

また、パネルの設置間隔が基準を満たしていないなど施工に問題があると、災害時に保険が適用されないケースもあります。 たとえば、風のとおり道がないほどパネルを敷きつめた発電所では、強風による飛散被害が保険の補償対象外になったという報告もあります。 施工基準の遵守は、保険の観点からも欠かせないのです。

建物の耐震強化と保険への加入は、太陽光発電を安全に運用するための「両輪」です。 どちらか一方ではなく、セットで検討することが、総合的なリスクへの備えにつながります。

まとめ

太陽光パネルは地震に対して「絶対に安全」とはいえませんが、正しくリスクを理解し、適切な対策をとることで被害を大きく減らせる設備です。

この記事でお伝えしたポイントをあらためて整理すると、以下のようになります。

  • 地震で発電がとまる原因の多くは、パネル自体ではなく架台・配線・パワコンなどの周辺設備にある
  • 壊れたパネルでも光があたれば発電するため、感電・漏電・発火の二次災害に十分な注意が必要
  • 架台の強度や施工品質を定期的にチェックし、不安があれば専門業者に相談する
  • ハザードマップで立地リスクを把握し、浸水や土砂災害の危険がある場合は追加の対策を講じる
  • 水害も見すえた設置高さや構造にすることで、複合災害への耐性が高まる
  • 建物の耐震性能を確保したうえで、火災保険+地震保険+賠償責任保険をセットで備える

太陽光発電は、停電時に自立運転モードで電力を確保できるなど、本来は災害に強い設備です。 その強みを地震のときにもしっかり発揮させるためには、日ごろからの備えと正しい知識が欠かせません。

「うちの設備は大丈夫だろうか」と少しでも不安を感じたら、まずは施工業者やメーカーに点検を依頼してみてください。 今日できる一歩が、将来の大きな被害をふせぐことにつながります。

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