お役立ちコラム 2025.12.08
京セラの蓄電池を選ぶ前に必ず見る価格と性能解説
家庭用蓄電池の導入をかんがえている方のなかで、京セラの製品に関心をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
京セラは1993年に国内で初めて住宅用の太陽光発電システムを販売した実績を持ち、エネルギー関連分野で長年にわたる技術と信頼を築いてきました。
とくに近年は電気料金のたかまりや自然災害への備えから、蓄電池への注目度が急上昇しています。
そうしたなかで京セラが販売する「Enerezza」シリーズは、世界初のクレイ型リチウムイオン蓄電池という独自技術をそなえていることで話題になっています。
しかし「具体的にどんな製品なのか」「価格はどのくらいなのか」「我が家に向いているのか」といった疑問をかかえている方も少なくないでしょう。
本記事では、京セラの蓄電池について価格・性能・特徴を詳しく解説し、購入前に知っておくべきポイントをまとめました。
蓄電池選びで後悔しないために、ぜひ最後までお読みください。
目次
京セラの蓄電池の基本情報

京セラの蓄電池をかんがえるうえで、まずはメーカーとしての京セラがどのような会社なのかを理解することが大切です。
蓄電池は長期間にわたって使用する設備であり、メーカーの信頼性や実績は製品選びにおいて重要な判断材料となります。
この章では、京セラという企業の概要と、同社の蓄電池が市場でどのような評価を受けているのかを詳しく見ていきましょう。
京セラとはどんな会社か
京セラは1959年に稲盛和夫氏によって設立された、日本を代表する電子部品・電気機器メーカーです。
創業当時は「京都セラミック株式会社」という社名で、わずか28人の従業員からスタートしました。
ファインセラミックスの専門メーカーとして出発し、当時ほとんどが海外製だったセラミック製電子部品の国産化に成功しています。
現在は京都市伏見区に本社を構え、売上高は2兆円を超える規模にまで成長しました。
創業以来一貫して黒字経営を継続しているという点も、企業としての安定性を示す重要な指標といえるでしょう。
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項目 |
内容 |
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設立年 |
1959年 |
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本社所在地 |
京都府京都市伏見区 |
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創業者 |
稲盛和夫 |
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従業員数 |
約8万人(グローバル) |
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売上高 |
2兆円超(連結) |
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上場市場 |
東証プライム |
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主な事業 |
電子部品、ファインセラミックス、太陽電池、情報機器など |
京セラの事業は多岐にわたり、電子部品・半導体部品・情報機器・通信機器・太陽電池・医療用製品など幅広い分野で展開しています。
とくに太陽光発電の分野では、1993年に国内で初めて住宅用の太陽光発電システムを販売したパイオニアとしての実績があります。
当時販売されたシステムのなかには、2024年時点でも稼働しているものがあり、30年以上にわたる安定稼働を実現しています。
このような長年の技術蓄積と品質へのこだわりが、現在の蓄電池開発にも活かされているのです。
また京セラは「敬天愛人」という社是のもと、品質第一をモットーに独自の試験を繰り返すことで、安全で高品質な製品づくりを追求してきました。
世界各地の実績データを分析し、製品の品質管理を社内できびしく行っている点も、京セラ製品の信頼性を支える要因となっています。
京セラ蓄電池の市場での評価
京セラの蓄電池は市場において**「長寿命・高安全性・高信頼性」**という評価を得ています。
とくに同社独自の「クレイ型リチウムイオン蓄電池」は、2019年の発表時点で世界初の技術として注目を集めました。
従来の液体型リチウムイオン電池とはことなる構造を採用することで、安全性と耐久性を大幅に向上させています。
具体的には、電極に電解液を練り込んで粘土状にする技術によって、液漏れや発火のリスクを低減しています。
一般的なリチウムイオン電池では液状の電解液を使用しているため、衝撃などで電池が変形すると液漏れや発火のおそれがありました。
京セラのクレイ型では電解液がはじめから練り込まれているため、このようなリスクが軽減されています。
- 従来の液体型より約1.6倍の長寿命を実現
- 衝突試験や燃焼試験など社内外のさまざまな安全性試験をクリア
- 日本建築センターが定める最上位の耐震クラスSを取得
- 機器保証・容量保証15年という業界最長クラスの保証期間
このような技術的な強みにくわえて、国内メーカーならではのサポート体制も市場から高く評価されています。
ユーザーからの口コミでは「問い合わせへの対応がはやい」「修理の手配がスムーズ」といった声が多く見られます。
また、2020年に発売された「Enerezza」シリーズはグッドデザイン賞を受賞しており、デザイン面でも評価を得ています。
蓄電池の表面は繋ぎ目のないなめらかな曲面で覆われており、室内に設置しても部屋の雰囲気を損ねにくいデザインとなっています。
市場シェアの観点では、2024年に発売された新製品「Enerezza Plus」によって販売数を大きく伸ばしています。
従来は単機能タイプのみの展開だったため選びづらいという声もありましたが、ハイブリッドタイプの登場によって選択肢が広がりました。
京セラの主力蓄電池シリーズ

京セラが販売している家庭用蓄電池は、大きく分けて「Enerezza Plus」と「Enerezza」の2つのシリーズがあります。
両者はともにクレイ型リチウムイオン蓄電池を採用していますが、システム構成や機能面でいくつかの違いがあります。
ご自身の住宅環境やライフスタイルに合った製品を選ぶために、それぞれの特徴をしっかりと把握しておきましょう。
Enerezza Plusの特徴
Enerezza Plus(エネレッツァ プラス)は、2024年4月に販売が開始された京セラ蓄電池の最新モデルです。
従来のEnerezzaが単機能型であったのに対し、Enerezza Plusはマルチ入力型ハイブリッド蓄電システムとして設計されています。
このシステムでは、太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナを1台にまとめることができるため、設置機器をへらせるというメリットがあります。
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項目 |
5.5kWhモデル |
11kWhモデル |
16.5kWhモデル |
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蓄電容量 |
5.5kWh |
11kWh |
16.5kWh |
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初期実効容量 |
4.7kWh |
9.4kWh |
14.1kWh |
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サイクル寿命 |
20,000サイクル |
20,000サイクル |
20,000サイクル |
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停電時出力 |
最大6kVA |
最大6kVA |
最大6kVA |
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機器保証 |
15年 |
15年 |
15年 |
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容量保証 |
15年(50%以上) |
15年(50%以上) |
15年(50%以上) |
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自然災害保証 |
10年 |
10年 |
10年 |
Enerezza Plusの最大の特徴は、サイクル寿命20,000回という驚異的な長寿命です。
1日1サイクルの充放電を行ったとしても、計算上は約55年間使用できることになります。
これは現行の家庭用蓄電池のなかでも最長クラスの寿命であり、長期的なコストパフォーマンスにすぐれています。
また、停電時の出力が最大6kVA(6,000W)という業界トップレベルの高出力を実現している点も大きな強みです。
これにより、停電時でも複数の家電製品を同時に使用することができます。
Enerezza Plusには、多彩な運転モードが用意されています。
- 売電モード:太陽光発電の余剰電力を売電するモード
- グリーンモード:太陽光発電の余剰電力を蓄電池に充電するモード
- フルグリーンモード:自家消費を最大化するモード
- 充電モード:災害に備えて充電のみを行うモード
- 停止モード:充放電を行わないモード
さらにオプションのEXボックスとEXケーブルを使用することで、ハイブリッド自動車やEV・発電機・ポータブル蓄電池などの外部電源から電力を取り込むことも可能です。
これにより、停電が長引いたときでも複数の電源を組み合わせて対応できるという安心感があります。
製造面ではすべての部品が国内製造という点も特筆すべきポイントです。
他社製品では電池部分のみ国内製造というケースも多いなか、京セラはすべての部品を国内で製造し、品質管理を徹底しています。
通信モデムも標準装備されており、京セラが通信費を負担する形で自動ソフトウェアアップデートや見守りサービスが提供されます。
ご自宅にインターネット環境がない場合でも、LTE通信によってサポートを受けられる点は安心材料といえるでしょう。
Enerezzaの特徴
Enerezza(エネレッツァ)は、2020年より販売が開始された京セラ初のクレイ型蓄電池です。
単機能型蓄電システムとして設計されており、蓄電池ユニットとパワーコンディショナが独立した構成となっています。
このため既設の太陽光発電システムに後付けで設置することが可能で、太陽光発電のメーカーを選ばないという利点があります。
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項目 |
5kWhモデル |
10kWhモデル |
15kWhモデル |
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蓄電容量 |
5kWh |
10kWh |
15kWh |
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サイクル寿命 |
12,000サイクル |
12,000サイクル |
12,000サイクル |
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停電時出力 |
2kVA |
2kVA |
2kVA |
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負荷タイプ |
特定負荷 |
特定負荷 |
特定負荷 |
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設置場所 |
屋内外兼用 |
屋内外兼用 |
屋内外兼用 |
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機器保証 |
15年 |
15年 |
15年 |
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容量保証 |
15年(50%以上) |
15年(50%以上) |
15年(50%以上) |
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自然災害保証 |
10年 |
10年 |
10年 |
Enerezzaのサイクル寿命は12,000回で、1日1サイクルの使用で約33年間使用できる計算になります。
Enerezza Plusの20,000サイクルには及びませんが、一般的なリチウムイオン蓄電池と比較すると十分に長寿命です。
蓄電容量は5kWhの蓄電池ユニットを最大3台まで組み合わせることで、5kWh・10kWh・15kWhの3種類から選択できます。
また導入後に蓄電池を増設することも可能で、初回設置から2年以内であれば容量を追加できます。
家族構成やライフスタイルの変化に合わせて柔軟に対応できる点は、Enerezzaの魅力のひとつです。
運転モードについては、以下の2種類が用意されています。
- グリーンモード:太陽光発電の余剰電力を蓄電池に充電し、自家消費を優先するモード
- 売電モード:太陽光発電の余剰電力を売電するモード
ただしEnerezzaは基本仕様では200Vに対応していないという注意点があります。
このためエコキュートやIHクッキングヒーターなど200V機器は停電時に使用できません。
オール電化住宅にお住まいの場合は、別途オプションのトランスユニットを導入することで200V対応にすることが可能です。
また基本仕様は特定負荷型となっており、停電時に電気を供給できるのはあらかじめ設定した回路のみとなります。
家全体に電気を供給したい場合は、こちらもトランスユニットによって全負荷型に切り替えることができます。
設置場所については屋内外どちらにも対応しており、設置スペースに困っている方や重塩害地域・寒冷地にお住まいの方でも導入しやすい設計です。
京セラ蓄電池を選ぶ際の判断材料

蓄電池の導入を検討するうえで、価格は非常に重要な判断材料です。
京セラの蓄電池は高性能である一方、導入コストがどのくらいかかるのか気になる方も多いでしょう。
また、どのような家庭に向いているのかを事前に把握しておくことで、購入後の後悔を防ぐことができます。
価格帯とコスト感
京セラの蓄電池価格は、製品のシリーズや容量によって大きく異なります。
ここでは主力製品であるEnerezza Plusの価格帯を中心にご紹介します。
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製品シリーズ |
容量 |
実売価格相場(工事費込み) |
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Enerezza Plus |
5.5kWh |
150万円台 |
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Enerezza Plus |
11kWh |
210万円台 |
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Enerezza Plus |
16.5kWh |
260万円台 |
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Enerezza |
5kWh |
100〜150万円程度 |
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Enerezza |
10kWh |
150〜180万円程度 |
|
Enerezza |
15kWh |
180万円〜 |
上記の価格には蓄電池本体にくわえて、パワーコンディショナ・ケーブル・工事費用などが含まれています。
工事費用単体の相場は20〜30万円程度が目安となりますが、設置環境によっては追加費用が発生することもあります。
メーカー希望小売価格(定価)と実売価格には大きな開きがあることが多いです。
たとえばEnerezza(単機能型)の定価は以下のとおりです。
- 5kWhモデル:275万円(税込)
- 10kWhモデル:473万円(税込)
- 15kWhモデル:671万円(税込)
しかし実際の販売価格は、複数の販売店から見積もりを取ることで定価より大幅に安くなるケースがほとんどです。
1kWhあたりの価格で見ると、大容量モデルほど単価が安くなる傾向があります。
経済産業省の公表資料によると、2025年時点の家庭用蓄電池の平均導入価格は補助金活用後で1kWhあたり約12万1,000円が目安とされています。
京セラの製品は1kWhあたり20〜30万円程度となっており、市場平均と比較するとやや高めの価格設定です。
ただし、この価格差には理由があります。
- 20,000サイクルという業界最長の寿命(Enerezza Plus)
- 100%国内製造による品質の高さ
- 15年という長期保証
- 自然災害保証10年が標準付帯
とくに寿命の長さは、長期的な費用対効果を考える上で重要なポイントです。
一般的な蓄電池のサイクル寿命が6,000〜12,000回程度であるのに対し、Enerezza Plusは20,000回という長寿命を実現しています。
また国や自治体の補助金を活用することで、実質的な導入費用を大幅に抑えることが可能です。
2025年度も家庭用蓄電池に対する補助金制度は継続されており、数十万円の支援を受けられる場合があります。
たとえば東京都では、太陽光発電との同時設置で1kWhあたり12万円の補助金が用意されています。
補助金の内容は自治体によって異なるため、導入前にお住まいの地域の制度を確認することをおすすめします。
おすすめできる家庭のタイプ
京セラの蓄電池は、すべての家庭に最適というわけではありません。
製品の特性を踏まえて、どのような家庭に向いているかを整理しました。
京セラ蓄電池がおすすめの家庭
- すでに京セラの太陽光発電を設置している家庭
- 同じメーカーで揃えることで連携がスムーズになり、保証やサポート面でも安心感があります
- 長期間にわたって蓄電池を使いたい家庭
- 20,000サイクルの長寿命により、20年以上の長期使用を想定している方に適しています
- 安全性・信頼性を重視する家庭
- クレイ型による発火リスクの低減や、国内製造による品質管理を重視する方におすすめです
- FIT制度の終了後に自家消費をかんがえている家庭
- 売電価格が下がった後は、蓄電池を活用した自家消費が経済的に有利になります
- 停電時の備えを充実させたい家庭
- Enerezza Plusなら最大6kVAの高出力で、停電時も複数の家電を同時使用できます
- 太陽光発電の後付けで蓄電池を導入したい家庭
- Enerezza(単機能型)は既存の太陽光発電システムにメーカー問わず接続可能です
京セラ蓄電池をおすすめしにくい家庭
- オール電化住宅でEnerezza(単機能型)を検討している家庭
- 基本仕様では200Vに対応していないため、エコキュートやIHが停電時に使用できません
- オプションのトランスユニットで対応可能ですが、追加費用がかかります
- 太陽光発電を設置していない家庭
- 太陽光発電との連携で真価を発揮する製品のため、蓄電池単体での導入効果は限定的です
- 初期費用をできるだけ抑えたい家庭
- 京セラの蓄電池は品質重視のため、市場平均と比較すると価格は高めです
- ただし長寿命による長期的なコストパフォーマンスは優れています
- すぐに元を取りたい家庭
- 投資回収を急ぐ場合は、より安価な製品のほうが短期的には有利な場合があります
蓄電池選びで重要なのは、ご自身の家庭の状況やニーズに合っているかどうかです。
複数のメーカーや製品を比較検討し、必ず複数の販売店から見積もりを取得することをおすすめします。
販売店によって提案される製品や価格が異なることも多いため、比較することでより良い選択ができるでしょう。
まとめ

京セラの蓄電池について、価格・性能・特徴を詳しく解説してきました。
京セラは1959年創業の老舗メーカーであり、1993年に国内初の住宅用太陽光発電システムを販売したエネルギー分野のパイオニアです。
同社の蓄電池「Enerezza」シリーズは、世界初のクレイ型リチウムイオン蓄電池という独自技術を採用しています。
この技術により、液漏れや発火リスクの低減、そして業界最長クラスの長寿命を実現しています。
とくに2024年発売のEnerezza Plusは、サイクル寿命20,000回・停電時出力6kVA・15年保証という高いスペックを誇ります。
価格帯は容量によって150万〜260万円程度(工事費込み)となっており、市場平均と比較するとやや高めです。
しかし長寿命・高品質・手厚い保証を考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは優れているといえるでしょう。
京セラの蓄電池は、安全性と信頼性を重視する方や、長期間使用を前提としている方にとくにおすすめです。
補助金制度も上手に活用しながら、ご家庭に最適な蓄電池を選んでいただければ幸いです。
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