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お役立ちコラム

太陽光発電システムの仕組みとメリット・注意点

電気代の高騰が続くなか、太陽光発電システムの導入を検討するご家庭が増えています。

2025年4月からは東京都で新築住宅への設置義務化もスタートし、太陽光発電への関心はますます高まっている状況です。

しかし「仕組みがよく分からない」「本当に元が取れるのか不安」という声も少なくありません。

この記事では、太陽光発電システムの基本的な仕組みからメリット、そして導入前に知っておきたい注意点まで、初めての方にも分かりやすく解説します。

これから太陽光発電の導入を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

太陽光発電システムの基礎知識

太陽光発電システムを正しく理解するためには、まず発電の仕組みと必要な設備について知ることが大切です。

ここでは、太陽光がどのようにして電気に変わるのか、そしてどのような機器が必要になるのかを詳しく解説していきます。

太陽光発電システムの仕組み

太陽光発電システムとは、太陽の光エネルギーを利用して電気を生み出す発電方式のことです。

火力発電のように燃料を燃やす必要がなく、太陽光さえあれば発電できるのが最大の特徴といえます。

では、具体的にどのような仕組みで発電しているのでしょうか。

太陽光発電の中核となるのは「太陽電池」と呼ばれる半導体素子です。

この太陽電池は、n型半導体とp型半導体という2種類の半導体を貼り合わせた構造になっています。

太陽光がこの接合面に当たると、「光電効果」という現象が起こります。

光電効果とは、光のエネルギーによって電子が動き出す現象のことです。

具体的には、太陽光が当たることで「電子(マイナス)」がn型半導体へ、「正孔(プラス)」がp型半導体へと移動します。

この状態でそれぞれに導線を接続すると、電気が流れるようになります。

この仕組みは、乾電池のプラス極とマイナス極をつなぐと電気が流れるのと似ています。

太陽電池は乾電池と違って電気を蓄える機能はありませんが、太陽光が当たっている間は継続的に発電し続けることができます。

太陽電池にはいくつかの種類がありますので、主なものを表でまとめました。

種類

特徴

変換効率

単結晶シリコン

高効率で発電量が多い

約20〜22%

多結晶シリコン

単結晶より安価で普及率が高い

約15〜18%

薄膜シリコン

軽量で曲面にも設置可能

約10〜13%

CIS/CIGS

影に強く曇りでも発電しやすい

約12〜15%

現在、住宅用として最も普及しているのはシリコン系の太陽電池です。

とくに単結晶シリコンは変換効率が高く、限られた屋根面積でも多くの発電量を得られるメリットがあります。

なお、変換効率とは太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換できる割合のことです。

国内で流通しているソーラーパネルのモジュール変換効率は**約20%**が一般的な水準となっています。

つまり、太陽から届く光エネルギーのうち2割を電気に変換できるということです。

残りの8割は熱などに変わってしまいますが、技術開発によって変換効率は年々向上しています。

設置に必要な主な設備構成

太陽光発電システムは、ソーラーパネルだけでは機能しません。

発電した電気を家庭で使えるようにするためには、複数の機器を組み合わせたシステム構成が必要です。

ここでは、住宅用太陽光発電システムに必要な主要設備について解説します。

太陽光パネル(太陽電池モジュール)

太陽光パネルは、太陽光発電システムのなかで最も目立つ存在です。

屋根に設置される黒色や青色の板状のもので、「ソーラーパネル」とも呼ばれています。

このパネルの内部には多数の太陽電池セルが組み込まれており、太陽光を受けて直流電力を生み出します。

パワーコンディショナー(パワコン)

パワーコンディショナーは、太陽光発電システムにおいて非常に重要な役割を担う機器です。

太陽光パネルで発電される電気は「直流」ですが、家庭で使う電気は「交流」です。

パワーコンディショナーは、この直流電力を交流電力に変換する装置として機能します。

また、最大電力追従制御(MPPT制御)という機能を備えた機種では、発電量が最も多くなる電圧を自動的に判断してロスを最小限に抑えてくれます。

接続箱・集電箱

接続箱は、複数の太陽光パネルから出る配線をまとめてパワーコンディショナーに送る役割を持ちます。

落雷などから機器を守るための保護機能も備えています。

分電盤

分電盤は、パワーコンディショナーで変換された電気を家庭内の各コンセントに分配する装置です。

太陽光発電を導入する際には、既存の分電盤を交換したり増設したりする場合もあります。

売電メーター(電力量計)

売電メーターは、余った電気を電力会社に売る際に発電量を計測するための機器です。

売電収入を正確に把握するためには欠かせない設備となります。

モニター

発電量や消費量、売電量などをリアルタイムで確認できる機器です。

最近では専用モニターではなく、スマートフォンアプリで確認できるタイプも増えています。

これらの設備構成と費用の目安を表にまとめました。

設備名

役割

費用目安(5kWシステムの場合)

太陽光パネル

太陽光を電気に変換

約68万円

パワーコンディショナー

直流を交流に変換

約20万円

架台・取付金具

パネルを屋根に固定

約10万円

接続箱・配線

電気を集めて送る

約5万円

工事費

設置・電気工事

約40万円

その他(モニター等)

発電状況の確認

約5万円

上記の費用はあくまで目安であり、屋根の形状や設置環境によって変動します。

経済産業省のデータによると、2024年の住宅用太陽光発電の設置費用は1kWあたり平均28.6万円とされています。

住宅用で一般的な3〜5kWのシステムを導入する場合、設置費用の相場は約85万〜143万円が目安となります。

太陽光発電システムのメリット

太陽光発電システムには、経済面から環境面までさまざまなメリットがあります。

ここでは、導入を検討する際に知っておきたい主なメリットについて詳しく解説します。

電気代削減と売電による経済効果

太陽光発電システムを導入する最大のメリットのひとつは、電気代の削減効果です。

自宅で発電した電気を使うことで、電力会社から購入する電気の量を減らすことができます。

では、具体的にどの程度の経済効果が期待できるのでしょうか。

太陽光発電の経済効果は、大きく分けて「自家消費による電気代削減」と「売電収入」の2つがあります。

まず自家消費についてですが、太陽光発電で作った電気を昼間に使用すると、その分だけ電力会社から買う電気が減ります。

現在の電気料金は1kWhあたり約25〜40円が一般的な水準です。

この電気を太陽光発電でまかなえれば、その分が丸々節約になるということです。

一方、昼間に使い切れなかった余剰電力は、電力会社に売ることができます。

これが「売電」です。

2025年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は、1kWhあたり15円と定められています。

売電価格は年々下がっていますが、電気代の削減効果と合わせて考えれば十分なメリットがあります。

具体的な経済効果のシミュレーションを見てみましょう。

項目

計算例(5kWシステム・東京都)

年間発電量

約5,000〜5,500kWh

自家消費量(約30%)

約1,500〜1,650kWh

売電量(約70%)

約3,500〜3,850kWh

電気代削減効果

年間約6万〜7万円

売電収入

年間約5万〜6万円

合計経済効果

年間約11万〜13万円

上記の例では、年間約11万〜13万円の経済効果が見込めます。

仮に設置費用が130万円だとすると、約10年程度で初期投資を回収できる計算になります。

さらに、補助金を活用すれば回収期間を短縮することも可能です。

たとえば東京都では、太陽光発電の設置に対して1kWあたり10〜12万円の補助金が交付される制度があります。

5kWのシステムを導入した場合、50〜60万円の補助金を受け取れる可能性があります。

この場合、初期費用の実質負担は約70〜80万円となり、7年程度で元が取れる計算です。

なお、太陽光発電を最大限に活用するためには、蓄電池との併用も効果的です。

昼間の余剰電力を蓄電池に貯めておけば、夜間や曇りの日にも太陽光で発電した電気を使えるようになります。

これにより自家消費率が高まり、売電よりも単価の高い買電を減らせるため、経済効果がさらに向上します。

電気代削減のメリットを箇条書きでまとめると、以下のようになります。

  • 昼間の電気代を大幅にカットできる
  • 余った電気を売って収入を得られる
  • 再エネ賦課金の負担も軽減できる
  • 電気料金の値上げに左右されにくくなる
  • 蓄電池と組み合わせればさらに効果アップ

環境負荷軽減と災害時の安心

太陽光発電システムのメリットは、経済面だけではありません。

環境への貢献と災害時の備えという点でも、大きな価値があります。

まず、環境面のメリットについて解説します。

太陽光発電は、発電時にCO2(二酸化炭素)をほとんど排出しません。

火力発電では1kWhあたり約690gのCO2が排出されますが、太陽光発電ではわずか17〜48g程度です。

つまり、太陽光発電で発電した分だけ火力発電の使用を減らせれば、1kWhあたり約650gのCO2削減につながります。

具体的な削減効果を数字で見てみましょう。

システム容量

年間発電量

年間CO2削減量

杉の木換算

3kW

約3,000kWh

約1,950kg

約140本分

5kW

約5,000kWh

約3,250kg

約230本分

3kWの太陽光発電システムを導入すれば、年間で杉の木約140本分のCO2吸収量に相当する削減効果があります。

これは一般家庭のCO2排出量の約40%にあたる数値です。

また、太陽光発電には「CO2ペイバックタイム」という指標があります。

これは、パネル製造時などに排出されたCO2を、発電によって何年で取り戻せるかを示すものです。

太陽光発電のCO2ペイバックタイムは約1〜2年とされており、残りの約28年は純粋なCO2削減に貢献し続けます。

次に、災害時のメリットについてです。

近年、地震や台風による大規模な停電が各地で発生しています。

こうした非常時に、太陽光発電があれば自立運転機能を使って電気を確保できます。

自立運転とは、停電時でも太陽光が出ていれば発電を続けられる機能のことです。

通常、パワーコンディショナーには非常用のコンセントが備わっており、ここから最大1,500W程度の電気を取り出せます。

これは、スマートフォンの充電やラジオ、小型冷蔵庫などを動かすのに十分な電力です。

さらに蓄電池を併設していれば、夜間や曇りの日でも電気を使い続けることができます。

災害時の備えとして、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは非常に心強い存在といえるでしょう。

災害時に太陽光発電が役立つポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 停電時でも昼間は発電して電気が使える
  • スマートフォンやラジオの充電ができる
  • 蓄電池があれば夜間も電気を確保できる
  • 電気自動車(EV)への充電も可能
  • ライフラインの復旧まで生活を維持しやすい

環境への配慮と災害への備え、この2つは今後ますます重要性が高まるポイントです。

太陽光発電システムは、持続可能な暮らしを実現するための有効な手段といえるでしょう。

導入前に知っておきたい注意点

太陽光発電システムには多くのメリットがありますが、導入前に確認しておくべきポイントもあります。

ここでは、初期費用やコスト回収の目安、そして設置環境やメンテナンスについて詳しく解説します。

初期費用とコスト回収の目安

太陽光発電システムの導入を検討する際、最も気になるのは初期費用でしょう。

どれくらいの投資が必要で、何年で元が取れるのかを把握しておくことが大切です。

まず、設置費用の相場について確認しましょう。

経済産業省の資料によると、2025年度の住宅用太陽光発電の設置費用は1kWあたり約25.5万円が想定値とされています。

これをもとに、システム容量ごとの費用目安を表にまとめました。

システム容量

設置費用の目安

年間発電量の目安

3kW

約78万〜90万円

約3,000kWh

4kW

約100万〜115万円

約4,000kWh

5kW

約130万〜145万円

約5,000kWh

6kW

約155万〜170万円

約6,000kWh

住宅用太陽光発電で多い容量は3〜5kWですので、約80万〜145万円が一般的な初期投資の範囲となります。

ただし、この金額は販売店や設置条件によって大きく変動する点に注意が必要です。

訪問販売などでは相場よりも著しく高額な価格で販売されているケースもあります。

必ず複数の業者から相見積もりを取り、適正価格かどうかを確認することをおすすめします。

次に、コスト回収期間について見ていきましょう。

初期費用を回収できるまでの期間は、以下の要素によって変動します。

  • 設置費用の総額
  • 補助金の有無と金額
  • 年間の発電量
  • 自家消費率
  • 電気料金の単価
  • 売電価格

一般的な目安として、補助金なしの場合は約10〜12年、補助金ありの場合は約7〜10年で初期費用を回収できるとされています。

太陽光パネルの寿命は20〜30年ともいわれていますので、回収後も長期にわたって経済メリットを享受できます。

ただし、注意しておきたいのはパワーコンディショナーの交換費用です。

パワーコンディショナーの寿命は約10〜15年とされており、太陽光パネルより先に交換が必要になります。

交換費用は約20〜45万円が相場ですので、この出費も計画に含めておく必要があります。

コスト回収を検討する際のポイントを箇条書きでまとめます。

  • 必ず複数社から見積もりを取る
  • 補助金の対象かどうかを確認する
  • 10年後のパワコン交換費用も考慮する
  • 売電より自家消費を優先する方が効率的
  • 長期的な視点で投資判断をする

設置環境やメンテナンスの重要性

太陽光発電システムを効率よく運用するためには、設置環境と定期的なメンテナンスが非常に重要です。

設置環境が適していなければ期待通りの発電量が得られませんし、メンテナンスを怠れば故障や発電効率の低下につながります。

まず、設置環境について確認すべきポイントを解説します。

屋根の方角と角度

太陽光パネルは、南向きに設置するのが最も発電効率が高くなります。

東向きや西向きでも発電は可能ですが、南向きと比べて発電量は約15〜20%減少します。

北向きの屋根は発電効率が大幅に下がるため、設置には適していません。

また、パネルの傾斜角度は約30度が理想的とされています。

日当たりと影の影響

周囲に高い建物や大きな木があると、影がかかって発電量が低下します。

とくに部分的な影は、パネル全体の発電効率に大きく影響する場合があります。

設置前には、1日を通じての日当たり状況を確認することが大切です。

屋根の状態と築年数

太陽光パネルの設置後は、屋根のメンテナンスが難しくなります。

築年数が古い住宅では、パネル設置前に屋根の点検や塗装を済ませておくことをおすすめします。

屋根の状態が悪いままパネルを設置すると、雨漏りなどのトラブルにつながる可能性があります。

設置環境のチェックポイントを表にまとめました。

チェック項目

確認内容

理想的な条件

屋根の方角

パネルを設置する面の向き

南向き

屋根の傾斜

パネルの設置角度

約30度

日当たり

周囲の建物や樹木による影

1日中影がかからない

屋根の状態

築年数と劣化具合

雨漏りや腐食がない

耐荷重

屋根がパネルの重さに耐えられるか

構造的に問題なし

次に、メンテナンスの重要性について解説します。

太陽光発電システムは「メンテナンスフリー」と言われることもありますが、これは正確ではありません。

長期にわたって安定した発電を続けるためには、定期的な点検と清掃が欠かせません。

パネルの表面に汚れや鳥のフンが付着すると、発電効率が低下します。

また、機器の不具合を早期に発見するためにも、4年に1回程度の定期点検が推奨されています。

経済産業省の資料によると、定期点検の費用は1回あたり約2万円が目安です。

さらに、前述のとおりパワーコンディショナーは10〜15年で交換が必要になります。

故障したまま放置すると、発電量の低下だけでなく、最悪の場合は火災につながるリスクもあります。

交換費用は約20〜45万円ですが、メーカー保証期間内であれば無償で対応してもらえる場合もあります。

メンテナンスに関するポイントを箇条書きでまとめます。

  • 4年に1回程度の定期点検を実施する
  • パネル表面の汚れは発電効率低下の原因になる
  • パワコンは10〜15年で交換が必要
  • 故障を放置すると火災リスクがある
  • メーカー保証の内容と期間を事前に確認する

まとめ

この記事では、太陽光発電システムの仕組みからメリット、導入前に知っておきたい注意点まで詳しく解説しました。

太陽光発電システムは、太陽電池の「光電効果」を利用して太陽光を電気に変換する仕組みです。

パネルだけでなく、パワーコンディショナーや分電盤など複数の機器で構成されています。

導入のメリットとしては、電気代の削減や売電収入といった経済効果に加え、CO2排出量の削減や災害時の電源確保など、環境面・安心面でも多くの価値があります。

一方で、初期費用は約80万〜145万円が相場であり、回収には7〜12年程度かかる点は事前に理解しておく必要があります。

また、設置環境の確認や定期的なメンテナンス、パワーコンディショナーの交換費用なども考慮に入れておきましょう。

太陽光発電システムは、長期的に見れば十分に投資価値のある設備です。

電気代の高騰が続くなか、エネルギーを自給自足できる暮らしは、経済的にも精神的にも大きな安心をもたらしてくれます。

導入を検討される際は、複数の業者から見積もりを取り、ご自宅に最適なシステムを選ぶことをおすすめします。

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