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お役立ちコラム

太陽光売電の仕組みと収入を増やすコツ

自宅やビルの屋根に設置した太陽光パネルで発電した電気を電力会社に売ることで収入を得られるのが、太陽光発電の大きな魅力です。

しかし、「売電ってどういう仕組みなの?」「いまから始めても元は取れるの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実は、2025年10月からは「初期投資支援スキーム」という新しい買取価格体系が導入され、住宅用太陽光発電では最初の4年間を24円/kWhという高単価で売電できるようになりました。

この制度変更により、これから太陽光発電を導入する方にとっては、投資回収を早められるチャンスが広がっています。

本記事では、太陽光発電の売電に関する基礎知識から、FIT制度やFIP制度といった売電制度の違い、さらには売電収入を最大化するための具体的な対策まで、幅広く解説していきます。

これから太陽光発電の導入を検討している方はもちろん、すでに設置済みで卒FIT後の対応に悩んでいる方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

太陽光発電の売電の基礎知識

太陽光発電システムを導入する際には、まず売電の基本的なしくみを理解しておくことが大切です。

発電した電気をどのように活用するかによって、得られるメリットや収入のあり方が大きく変わってきます。

また、住宅用と産業用では売電のルールや買取価格にも違いがあるため、自分の状況に合った知識を身につけておくことが、太陽光発電を最大限に活かすための第一歩となります。

ここでは、売電と自家消費の違いや、設備規模による売電方式の違いについて詳しく見ていきましょう。

売電の仕組みと自家消費との違い

太陽光発電で生み出した電気の使い道は、大きく分けて**「売電」と「自家消費」の2つ**があります。

売電とは、発電した電気を電力会社に売却して収入を得る方法のことです。

自宅で使い切れなかった余剰電力を送電線を通じて電力会社に送り、その対価として毎月の売電収入を受け取ることができます。

一方、自家消費とは、発電した電気をそのまま自宅や事業所で使用する方法を指します。

電力会社から購入する電気を減らせるため、電気代の節約につながるという大きなメリットがあります。

以下の表で、売電と自家消費のちがいを整理してみましょう。

項目

売電

自家消費

電気の使い道

電力会社に売却する

自宅や事業所で使用する

メリット

売電収入が得られる

電気代を削減できる

適している状況

日中の電力使用量が少ない場合

日中の電力使用量が多い場合

収益性のポイント

売電単価の高さ

購入電力単価との差額

ここで重要なのは、売電単価と購入電力単価の関係です。

現在、住宅用太陽光発電の売電単価は15円/kWhが基本となっています。

一方で、電力会社から購入する電気の単価は、多くの家庭で30円/kWh以上にのぼることも珍しくありません。

つまり、電気を売るよりも自分で使った方が、経済的なメリットは大きくなる傾向があるのです。

ただし、日中に家を留守にすることが多いご家庭では、発電した電気を使い切れないケースもあります。

そのような場合には、売電によって余剰電力を有効活用することで、無駄なく収入を得ることが可能です。

また、蓄電池を導入すれば、日中に発電した電気を夜間に使うという選択肢も広がります。

売電と自家消費のバランスをどのように取るかは、各家庭のライフスタイルや電力使用パターンによって異なります。

自分にとって最適な活用方法を見つけることが、太陽光発電のメリットを最大限に引き出すカギといえるでしょう。

住宅用と産業用の売電の違い

太陽光発電システムは、設備の規模によって**「住宅用」と「産業用」**に大きく分類されます。

この区分によって、適用される売電制度や買取価格、さらには買取期間まで異なってくるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。

一般的に、発電出力が10kW未満の設備は住宅用、10kW以上の設備は産業用として扱われます。

住宅用太陽光発電の場合、FIT制度(固定価格買取制度)による買取期間は10年間と定められています。

発電した電気のうち、自家消費しきれなかった余剰電力のみを売電する**「余剰売電」**が基本となります。

一方、産業用太陽光発電では、買取期間が20年間と長く設定されています。

ただし、10kW以上50kW未満の設備については、自家消費率30%以上という要件が設けられており、全量売電ではなく余剰売電が前提となっています。

50kW以上の大規模設備になると、発電した電気をすべて売電に回す**「全量売電」**を選択することも可能です。

以下の表で、住宅用と産業用のおもな違いを確認してみましょう。

項目

住宅用(10kW未満)

産業用(10kW以上50kW未満)

産業用(50kW以上)

買取期間

10年間

20年間

20年間

売電方式

余剰売電のみ

余剰売電(自家消費30%以上必須)

全量売電または余剰売電

2025年度売電単価(9月まで)

15円/kWh

10〜11.5円/kWh

8.9〜10円/kWh

設置場所の例

一般住宅の屋根

アパート・小規模工場

メガソーラー・大型施設

住宅用の売電単価が産業用よりも高く設定されているのには、理由があります。

住宅用太陽光発電は規模が小さいため、1kWあたりの設置コストが割高になりやすいという特徴があるからです。

このコスト差を考慮して、住宅用には高めの買取価格が適用されているのです。

また、2025年度からは設置場所によっても買取価格が変わるという新しいルールが導入されました。

屋根に設置する場合と地上に設置する場合で単価が異なり、屋根設置の方が高い価格で売電できるようになっています。

これは、屋根設置が土地を使わないエコな導入方法として評価されているためです。

住宅用か産業用かの区分は、単に設備の大きさだけでなく、収益計画や投資回収の見通しにも大きく影響します。

太陽光発電の導入を検討する際には、自分がどちらの区分に該当するのかを確認し、それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで判断することが大切です。

売電制度と価格の考え方

太陽光発電で安定した収入を得るためには、売電制度のしくみを正しく理解しておくことが欠かせません。

日本では、再生可能エネルギーの普及を後押しするために、**FIT制度(固定価格買取制度)**が2012年から本格的に運用されています。

さらに近年では、**FIP制度(フィードインプレミアム制度)**という新しい制度も導入され、売電の選択肢が広がっています。

ここでは、それぞれの制度の特徴や売電単価の決まり方について詳しく解説していきます。

FIT制度とFIP制度の違い

FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間、固定価格で買い取ることを国が保証する制度のことです。

「Feed-in Tariff」の頭文字を取ってFITと呼ばれ、日本語では「固定価格買取制度」と訳されます。

この制度の最大の魅力は、売電価格が契約時に決まり、買取期間中は変動しないという安心感にあります。

住宅用であれば10年間、産業用であれば20年間にわたって同じ価格での売電が保証されるため、収支計画を立てやすいというメリットがあります。

一方、FIP制度は2022年4月から導入された新しい売電のしくみです。

「Feed-in Premium」の略で、市場価格に一定のプレミアム(上乗せ額)を加えた金額で売電する制度となっています。

FIT制度との最大の違いは、売電価格が電力市場の価格変動に連動するという点です。

市場価格が高い時間帯に売電すれば高い収入を得られますが、逆に市場価格が低いときは収入も下がってしまいます。

以下の表で、2つの制度のおもな違いを比較してみましょう。

項目

FIT制度

FIP制度

正式名称

固定価格買取制度

フィードインプレミアム制度

売電価格

固定(契約時の価格で一定)

変動(市場価格+プレミアム)

価格変動リスク

なし

あり

対象となる設備規模

すべての規模

おもに50kW以上(250kW以上は必須)

収益予測のしやすさ

立てやすい

難しい

電力市場への参加

不要

必要

現在の制度では、発電出力250kW以上の大規模太陽光発電は、FIP制度のみが適用されることになっています。

50kW以上250kW未満の設備については、FIT制度とFIP制度のどちらかを選択することが可能です。

住宅用の10kW未満や小規模な産業用設備については、引き続きFIT制度を利用できます。

FIP制度の導入背景には、再生可能エネルギーの自立化を促進したいという国の方針があります。

FIT制度では電力会社が固定価格で買い取るため、市場価格との差額を「再エネ賦課金」として電気利用者全体が負担してきました。

この負担を軽減しつつ、発電事業者が市場価格を意識した効率的な発電を行うことを期待して、FIP制度が創設されたのです。

住宅用太陽光発電を導入する一般家庭にとっては、当面はFIT制度が中心となります。

しかし、今後の制度変更にも注目しながら、長期的な視点で売電戦略を考えていくことが求められるでしょう。

売電単価と買取期間の基本

太陽光発電の売電単価は、設備の認定を受けた年度によって決まり、買取期間中は変動しないというルールになっています。

たとえば2025年度にFIT認定を受けた場合、その年度の売電単価が10年間(住宅用)または20年間(産業用)にわたって適用されるのです。

2025年度の売電単価について、設備の種類別にまとめると以下のようになります。

設備区分

2025年9月までの売電単価

2025年10月以降の売電単価

住宅用(10kW未満)

15円/kWh

最初の4年間:24円/kWh、5年目以降:8.3円/kWh

産業用・屋根設置(10〜50kW未満)

11.5円/kWh

最初の5年間:19円/kWh、6年目以降:8.3円/kWh

産業用・地上設置(10〜50kW未満)

10円/kWh

10円/kWh(変更なし)

産業用(50〜250kW未満)

8.9円/kWh

8.9円/kWh(変更なし)

注目すべきは、**2025年10月から導入される「初期投資支援スキーム」**です。

この新しいしくみでは、住宅用太陽光発電の場合、最初の4年間は24円/kWhという高い売電単価が適用されます。

これにより、設置後の早い段階で初期費用を回収しやすくなるというメリットが生まれます。

産業用の屋根設置についても同様に、最初の5年間は19円/kWhで売電でき、6年目以降は8.3円/kWhとなります。

売電単価が年々下がっている背景には、太陽光発電システムの価格低下があります。

2012年にFIT制度が始まった当初、住宅用の売電単価は42円/kWhでした。

それが2025年度には15円/kWhまで下落しており、10年以上で約3分の1になった計算です。

しかし、これは必ずしも悪いことではありません。

売電単価の低下に合わせて、太陽光パネルやパワーコンディショナーの価格も大幅に下がっているからです。

経済産業省のデータによると、住宅用太陽光発電のシステム費用は、1kWあたり20万円台後半まで低下しています。

初期費用が安くなった分、売電単価が低くても投資回収にかかる期間はそれほど変わらないとされています。

一般的なシミュレーションでは、6〜10年程度で初期投資を回収できるという試算が多く見られます。

売電単価だけに目を向けるのではなく、システム費用とのバランスを見てトータルでの収益性を判断することが大切です。

また、買取期間が終了した後(卒FIT後)の対応も視野に入れて、長期的な視点で計画を立てることをおすすめします。

売電収入を増やすための対策

太陽光発電の売電収入を最大化するには、発電量を増やす工夫と売電方法の見直しの両面からアプローチすることが重要です。

設備のメンテナンスや運用方法を改善することで、同じパネルでもより多くの電気を生み出せる可能性があります。

また、FIT制度の買取期間が終了した後(卒FIT後)には、新たな売電先の選定や自家消費へのシフトを検討する必要があります。

ここでは、売電収入を増やすための具体的な対策について詳しく解説していきます。

発電量を増やす設備改善と運用

売電収入は「発電量×売電単価」で決まるため、発電量を増やすことが収入アップに直結します。

同じ売電単価であっても、発電量が10%増えれば収入も10%アップするという単純な計算です。

まず取り組みたいのが、太陽光パネルの定期的な清掃です。

パネルの表面に砂やほこり、鳥のフンなどが付着すると、太陽光がさえぎられて発電効率が低下してしまいます。

一般的な住宅であれば、年に1〜2回程度の清掃で十分な効果が期待できます。

ただし、屋根の上での作業は危険をともなうため、専門業者に依頼することをおすすめします。

次に重要なのが、パワーコンディショナー(パワコン)の点検と交換です。

パワコンは太陽光パネルで発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する装置です。

この機器の変換効率が低下すると、せっかく発電した電気を有効活用できなくなってしまいます。

パワコンの寿命は一般的に10〜15年程度といわれており、不具合の兆候が見られたら早めの交換を検討しましょう。

発電量を増やすための主なポイントを以下にまとめました。

  • パネル表面の清掃を年1〜2回実施する
  • パワコンの変換効率を定期的にチェックする
  • 影になる原因(樹木や建物)を取り除く
  • 発電量モニターで日々の発電状況を確認する
  • パネルの経年劣化を定期点検で早期発見する

また、近年では従来よりも発電効率が高いN型パネルが登場しています。

N型パネルは、早朝や夕方といった低照度の環境でも安定して発電できるという特徴があります。

既存のパネルを新しい高効率パネルに交換することで、発電量の大幅なアップが見込めるケースもあります。

設備の老朽化が進んでいる場合には、リプレース(交換)を検討する価値があるでしょう。

発電量の監視も、収入アップには欠かせない取り組みです。

最近の太陽光発電システムには、スマートフォンで発電状況をリアルタイムで確認できる機能が搭載されているものも多くあります。

普段から発電量をチェックしておくことで、異常があった場合にすぐ気づけるというメリットがあります。

発電量の急激な低下が見られた場合には、パネルの故障やパワコンのトラブルを疑い、速やかに点検を依頼しましょう。

卒FIT後の選択肢と戦略

住宅用太陽光発電のFIT買取期間は10年間のため、2019年以降、毎年多くの家庭が卒FITを迎えています。

卒FIT後は、それまでの固定価格での買取が終了し、新たな売電先を自分で選ぶ必要があります。

何も手続きをしないままでいると、地域の大手電力会社に自動的に移行し、従来よりも大幅に低い価格で買い取られてしまう可能性があります。

大手電力会社の卒FIT買取価格は、おおむね7〜9円/kWh程度に設定されています。

FIT期間中に30円台で売電していた方にとっては、収入が4分の1以下に減ってしまう計算になります。

しかし、あきらめるのは早いです。

新電力会社のなかには、11〜15円/kWh程度の高い買取価格を提示しているところもあります。

以下の表で、卒FIT後の主な選択肢を整理してみましょう。

選択肢

内容

メリット

デメリット

新電力への売電切替

より高い買取価格の電力会社と契約

売電収入を増やせる

会社選びの手間がかかる

自家消費の拡大

発電した電気を極力自分で使う

電気代を大幅に削減できる

日中の電力使用量が少ないと効果が薄い

蓄電池の導入

余剰電力を蓄電池に貯めて夜間に使用

電力の自給自足が可能になる

初期費用がかかる

市場連動型プランへの切替

電力卸売市場価格に連動した売電

市場が高いときは高収入を得られる

価格変動のリスクがある

新電力への売電切替を検討する際には、複数の会社の買取価格を比較することが大切です。

買取価格は電力会社によって大きく異なり、エリアによっても差があるためです。

また、電気料金プランとセットで契約すると買取価格がアップするプランも多く用意されています。

たとえば、ある新電力では電気料金プランとのセット契約で13.5円/kWhという高水準の買取を行っています。

自家消費を拡大するという選択肢も、卒FIT後の有力な戦略のひとつです。

現在の電気料金は30円/kWh以上になることも珍しくないため、8円程度で売るよりも自分で使った方がお得になります。

蓄電池を導入すれば、日中に発電した電気を貯めておき、夜間や雨の日に使うことができます。

蓄電池の導入には費用がかかりますが、自治体によっては補助金制度を利用できる場合もあります。

市場連動型プランという新しい選択肢も注目を集めています。

これは、電力卸売市場(JEPX)の価格に連動して買取価格が変わるしくみです。

2022年から2024年の実績では、固定買取型よりも市場連動型の方が高い買取価格になったというデータもあります。

ただし、市場価格が下落するリスクもあるため、価格変動を許容できる方向けの選択肢といえるでしょう。

卒FIT後の対応は、太陽光発電を長く活用していくうえで非常に重要な決断となります。

自分のライフスタイルや電力使用パターンに合った方法を選び、太陽光発電のメリットを最大限に引き出していきましょう。

まとめ

太陽光発電の売電は、適切な知識と戦略があれば、長期にわたって安定した収入源になり得るものです。

本記事のポイントを振り返ると、まず売電のしくみでは、発電した電気を売る「売電」と自分で使う「自家消費」のバランスが重要でした。

現在は売電単価よりも電気購入単価の方が高いケースが多いため、自家消費を優先しつつ余った電気を売るという考え方が主流になりつつあります。

売電制度については、住宅用太陽光発電では引き続きFIT制度による10年間の固定価格買取が利用できます。

2025年10月からは初期投資支援スキームが導入され、最初の4年間は24円/kWhという高単価で売電できるようになりました。

これは、早期の投資回収を後押しする大きなチャンスといえるでしょう。

売電収入を増やすためには、パネルの清掃やパワコンの点検といった日々のメンテナンスが欠かせません。

発電量をこまめにモニタリングし、異常があればすぐに対処することで、収入のロスを防ぐことができます。

そして卒FIT後には、新電力への切替や蓄電池導入による自家消費拡大など、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

太陽光発電は、一度設置すれば20年以上にわたって発電し続ける長期的な投資です。

導入時だけでなく、運用中や卒FIT後の対応も見据えて、計画的に取り組んでいくことをおすすめします。

エネルギー価格の変動や環境意識の高まりを背景に、太陽光発電の価値は今後も高まっていくと考えられます。

本記事を参考に、ご自身に最適な売電戦略を見つけていただければ幸いです。

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