お役立ちコラム 2022.09.20
太陽光パネルの廃棄にかかる費用は?廃棄の際の注意点も紹介!
設備の寿命や建物の解体などの理由で、太陽光パネルを廃棄をする際は、費用がかかります。適切な方法で廃棄するために、具体的にかかる費用や注意点などを知っておくことが大切です。
本記事では、太陽光パネルの廃棄にかかる費用や注意点などを解説します。廃棄を予定している方はもちろん、これから太陽光パネルを設置する方もご一読ください。
今回の記事のまとめ
- 産業廃棄物に該当する太陽光パネルは排出事業者による処分が必要
- 太陽光パネルの廃棄は必ず専門業者へ依頼する
- 太陽光パネルの廃棄費用は30~150万円と幅広い
- FIT制度を利用して廃棄費用を積み立てておくのがおすすめ
目次
太陽光パネルの廃棄は産業廃棄物に該当
太陽光発電システムは、太陽光パネルとその他の機器(架台・接続箱・パワーコンディショナー・変電設備など)に分かれます。太陽光パネルの多くはガラスで作られていますが、アルミ・銀などリサイクルすべき資源が含まれます。
ほかにも、カドミウム・鉛・セレンなどの有害物質が含まれているため、産業廃棄物に該当します。廃棄の際は、廃棄物処理法に基づき、環境省や自治体のガイドラインを守ることが必要です。
産業廃棄物を処分するのは、法律上でごみを出す人に該当する「排出事業者」です。排出事業者が誰になるのかは、以下のように廃棄の原因によって異なります。
- 製品の不良…メーカー
- システムの老朽化・不具合・故障…販売店もしくは撤去を担当した施工会社
- 家の建て替え・リフォーム…解体業者
なお、自然災害や事故が原因で、太陽光パネルが落下・破損した場合は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として処理が必要です。一般廃棄物の処理方法は、自治体ごとで定められている方法で行ないます。
この場合は、太陽光パネルを所持しているユーザー自身が、排出事業者に該当します。
必ず専門業者に処理の依頼を!
排出事業者がいずれの場合にも、
太陽光パネルの廃棄には専門的な技術や知識が必要です。
廃棄費用を節約するため、適切な処理をせず個人的に不法投棄などをしてしまうと、懲役または罰金が課せられます。さらに、有害物質が残ったまま廃棄することで、環境にも悪影響を及ぼす可能性が高まります。適切に処理したのち廃棄するのであれば、環境に害を与えることはありません。
太陽光パネルの廃棄は、必ず専門業者へ依頼するようにしましょう。廃棄する箇所以外に、再利用が可能な資源が残っていれば、リサイクルに回してもらえます。架台レールに使われているアルミ・架台の素材であるスチール・太陽光パネルに使われているガラス、EVAシート、プラスチック、シリコンなどは、すべて再利用できる資源です。
環境省からも、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」が発表されています。太陽光パネルを含めた、太陽光発電設備の適切な廃棄・リサイクルの推進を、国を挙げて進めているのです。
落下・破損により、一般廃棄物として処理する場合は、廃棄方法について専門業者と自治体へ相談する必要があります。前述した通り、太陽光パネルには有害物質が含まれているため、粗大ごみとしての処分は許可されていません。
具体的な処理費用は?(一般家庭想定)
太陽光パネルを廃棄するのに、各工程においてどのくらい処理費用がかかるのでしょうか。ここでは、一般家庭に設置した太陽光パネルの廃棄を想定して、具体的な費用を見てみましょう。
人件費 10万円〜15万円
一般家庭の太陽光パネルは、屋根の上に設置されていることがほとんどです。屋根に設置された太陽光パネルを取り外すには、機械を使うことができないため、専門的な知識を持った作業員を雇わないといけません。人件費の費用相場は10万円から15万円と言われています。
足場代 1日あたり3万円~
作業員が作業をするために、足場を組む必要があります。足場代の相場は、1㎡あたり700円から1,000円程度と言われており、30坪の敷地に建っている2階建ての建物であれば、15万円から20万円ほどです。1日あたりに換算すると3万円程度となります。
業者によって、足場を組まずに、クレーンで作業員を屋根まで運ぶところもあるようです。クレーンを使うのが可能なのか、費用がどの程度変わるかなどについては、直接業者に尋ねましょう。
修理代 瓦を敷きなおす場合 100万円
太陽光パネルの撤去後に、瓦を敷き直す場合は、屋根の修理代も発生します。屋根全体で瓦葺をすると、100万円程度かかります。部分的に修理するのであれば、十数万円から30万円程度が費用相場です。
住宅用の太陽光パネルでは、撤去後の屋根に架台が残ります。架台も撤去して、屋根を元通りの状態にすっきりさせるには、屋根材の部分的または全面的な補修が必要です。架台の種類によっては、残したままでも問題ない場合もあるため、屋根の状態とコストを照らし合わせ、検討しましょう。
運搬費/処分費 運ぶ距離と処理する量に依存
太陽光パネルを取り外した後に、処分場まで運ぶのにかかる運搬費は、処分場までの距離によって変わってきます。つまり、遠くに運べば運ぶほど、運搬費も高くなります。
処分作業に対してかかる処分費は、処分するパネルの枚数や依頼する業者によって異なります。業者のうち、再資源化への取り組みを行っている業者であれば、処分費を低額に抑えられる可能性もあるため、業者が取り扱っている業務内容も併せて確認すると良いでしょう。
太陽光パネル以外の廃棄(支柱、架台、パワコン、ケーブル)
太陽光パネル以外の部品である、支柱・架台・パワコン・ケーブルなどは、リサイクルが可能であるため、廃棄費用はほとんどかかりません。リサイクルにより、適切な処理をする必要があります。
トータル料金【30万円~150万円】
上記の費用を合計すると、太陽光パネルの廃棄にかかる費用は、30万円から150万円が相場です。パネルの大きさや設置場所などによって、費用は大きく変わってきますので、廃棄前にしっかりと見積もりを取るようにしましょう。
設置した時から廃棄に向けて積立が重要
上記で紹介したように、太陽光パネルの廃棄にはまとまったお金が必要です。ただ、お金が用意できないと、廃棄することができません。
産業用の太陽光パネルでは、廃棄費用の積み立てが義務付けられています。家庭用では、積立は義務ではありませんが、まとまったお金がかかることは同じです。廃棄することを前提にし、事前に積み立てておくことが大切です。
FIT制度(固定価格買取制度)により、売電収入を得ているのであれば、その収入を廃棄費用として積み立てておくのが確実な方法です。FIT制度の普及により、太陽光発電による買取価格は、制度導入直後よりも大幅に下がっています。ただ、毎月積み立てておけば、廃棄が必要となる段階ではまとまった金額を貯められます。
FIT制度の買取期間は10年間となっており、その後は買取価格が大幅に下がります。蓄電池を設置いただくことで、太陽光発電システムで発電した電気を自宅に蓄えられるため、電気代の大幅な節約や災害対策などに役立てられるのです。
廃棄に伴い、新しい太陽光パネルに買い替えるのであれば、廃棄費用に加えて購入費用も必要です。廃棄費用と購入費用の両方を積み立てておかなくてはいけません。計画を立てて、資金面で困ることのないようにしましょう。
高寿命&高価格なので日頃のメンテナンスを
太陽光発電の法定耐用年数は17年ですが、この年数は設備の寿命を表しているのではありません。設置方法や発電量によっては、一般家庭でも固定資産税の対象となる場合があります。
一般的な太陽光パネルの寿命は20年程度だと言われています。メンテナンスをしっかり行えば、30年以上使えることから、長期間にわたって太陽光パネルの機能を維持し、太陽光発電を行なうことができるのです。
太陽光パネルの寿命をできるだけ長くするには、日頃のメンテナンスが必要です。屋根の上に設置されている太陽光パネルは、ユーザーが自分自身で目にすることは難しいものです。経年劣化が起きていたとしても、確認は難しく、専門業者による定期的なメンテナンスが求められます。
太陽光パネルは、寿命は長いものの、経年劣化による性能の低下は避けられません。経年劣化により発電効率が下がり、発電量が減るとされています。経年劣化が起こるのには、主に以下の原因が考えられます。
- ホットスポット(パネルのひび割れや電気回路の不備などにより、パネルに熱が生じる)
- 層間剥離(パネルを構成する樹脂の劣化により、空気や水分が入り込み剥離が起こる)
早い段階で、上記の症状に対策を取るには、定期的なメンテナンスが欠かせません。症状が重い場合は、発電量の減少に加え火災を引き起こすリスクも高まります。
太陽光パネルは、廃棄する時だけでなく購入時にもまとまったお金が必要です。メンテナンスや点検を適切に行なっていると、廃棄せずに買い替えの方向で検討できます。メンテナンスと資金面での両面でしっかりとした計画を立てて、対策をとるようにしましょう。
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